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「陽当り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

陽当りの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
静かに四辺を見廻した。 文政元年秋の事でここ八ヶ嶽の中腹の笹の平と呼ばれている陽当りのよい大谿谷には真昼の光が赭々と今一杯に射し込んでいる。既に八つの峰々には....
娯楽論」より 著者:戸坂潤
らの埋め合わせや弁解ではない。生活の消極的な陰や否定的な側面などではない。生活の陽当りのよい露出面での出来事でもあり瞬間でもあるのだ。否、そうあるべきなのだ。又....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
出廬《しゅつろ》をなさらない時分の毎日の生活と申しますのは、晴れた日には自分から陽当りのいい前畑に出て躬耕《きゅうこう》を致し、雨の日には自分の好むところの古今....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
洋画家がやって来て一石やりましょうとの事だから直ちにそれに応じて碁盤《ごばん》を陽当りのよい縁側に持ち出させそこで悠々と碁をうち出した。暮のうちは百姓弥之助が少....
夜長姫と耳男」より 著者:坂口安吾
づかぬ場所であった。 「なるほど。馬小屋をたてるとすれば、まずこの場所だが、ちと陽当りがわるくはないか」 アナマロがブラリと姿を現して、からかった。 「馬はカ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
、南玉の後から (こんな汚いところに――) と、思いながら、益満の住んでいる、陽当りの悪い、古い、臭のする長屋へ入って行った。南玉が 「今晩は」 と、いうと....
中支遊記」より 著者:上村松園
坐りこんで着物などのつくろいをしている。四辺はどうあろうともそこだけはぽかぽかと陽当りよく、余念もない女の針がひかっているのである。 物静かな京都の街なかでも....
」より 著者:矢田津世子
声を荒らげるのだった。そのあとで何やら工合わるそうにして座を立つのだが、やがて、陽当りのいい居間の縁ばなにしゃがんで籠のカナリヤを人差指で嚇かすようなことをして....
凍雲」より 著者:矢田津世子
をたてながら流れた。シャベルで水っぽい雪を掘ると青い蕗の芽が雪にまじって散った。陽当りの好い塀の下には黒い土が見え出した。橇はもう小屋にしまわれた。子供らは、ど....
新生の門」より 著者:林芙美子
もわれたりします。 この刑務所は幸福なことに、たいへん明るい庭を持っているし、陽当りのいい窓も沢山持っています。十四,五人も雑居している広い畳敷きの部屋には、....
早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
ちかかったうすい壁一重で差配を仕切られていて、それに裏がすぐ屋敷の竹藪につづいて陽当りがわるいので、前からよく住みての変る家だった。移って行った浪人はそれでも一....
私本太平記」より 著者:吉川英治
せていた。 「……えっ? では明日、三河へ帰してくださいますか」 彼女の身は、陽当りのわるい一室に、二人の老女の監視のもとに、道誉の留守中、軟禁されていたので....