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「隅田川〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隅田川の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
。 電車が万世橋の交叉点を素直ぐに貫いても、鷲は翼を納めぬので、さてはこのまま隅田川へ流罪ものか、軽くて本所から東京の外へ追放になろうも知れぬ。 と観念の眼....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
釣ってある伝声管をとりあげると、やや湿っぽい声で返事をした。 「機首を左へ曲げ、隅田川に沿って、本所浅草の上空へやれ。高度は、もっと下げられぬか」そう云ったのは....
自叙伝」より 著者:大杉栄
塾のそばに道場を造って柔道の先生をし、また夏は子安辺で水泳の先生をして、毎年の冬隅田川で寒中水泳を催している。 この柔道から少し遅れて、撃剣も教わりに行った。....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
燎原に立ち昇る晩夏の陽炎を見入って、深い溜息をした。 父の水泳場は父祖の代から隅田川岸に在った。それが都会の新文化の発展に追除けられ追除けられして竪川筋に移り....
河明り」より 著者:岡本かの子
水のほとりに行き度いのであった。 東京の東寄りを流れる水流の両国橋辺りから上を隅田川と云い、それから下を大川と云っている。この水流に架かる十筋の橋々を縫うよう....
第四次元の男」より 著者:海野十三
人相が現われていないかしらと、思ったのである。 すると、藤田師は御自分の皺が、隅田川のように大きく見える天眼鏡をもって、わたくしの顔を穴のあくほど見ていたが、....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
―というのである。 杜は承知の旨を応えた。 12 ミチミの住居は、隅田川の同じ東岸に属する向島にあった。そして同じく広々とした焼跡に立つバラックで....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
、妾にしよう、と追い廻わす。――危く駒下駄を踏返して、駕籠でなくっちゃ見なかった隅田川へ落ちようとしたっさ。――その話にでも嫌いな按摩が。 ええ。 待て、見....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
。……帯を解いたのを見られたでしょう。 ――染や、今日はいい天気だ、裏の山から隅田川が幽に見えるのが、雪晴れの名所なんだ。一所に見ないかって誘うんですもの。 ....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、それから先はどこまでだか、ほとんど想像にも及びません。――明石町は昼の不知火、隅田川の水の影が映ったよ。 で、急いで明石町から引返して、赤坂の方へ向うと、ま....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
して川端へ出れば、船の行交い、人通り、烟突の煙、木場の景色、遠くは永代、新大橋、隅田川の模様なども、同一時刻の同一頃が、親仁の胸に描かれた。 「姉や、姉や、」と....
三枚続」より 著者:泉鏡花
と自分と二人ぐらし、柳屋という小さな絵草紙屋をしているけれども、父が存生の頃は、隅田川を前に控え、洲崎の海を後に抱き、富士筑波を右左に眺め、池に土塀を繞らして、....
式部小路」より 著者:泉鏡花
ましてございますが、一生懸命、あんな役雑な三味線でも、思いなしか、あの時くらい、隅田川の水にだって、冴えた調子は出たことがございませんよ。」 当時の光景、いか....
雪柳」より 著者:泉鏡花
雑の気保養に、曳船の仮の一人ずみ、ほんの当座の手伝いと、頼まれた。手廻り調度は、隅田川を、やがて、大船で四五日の中に裏木戸へ積込むというので、間に合せの小鍋、碗....
勝ずば」より 著者:岡本かの子
夜明けであった。隅田川以東に散在する材木堀の間に挟まれた小さな町々の家並みは、やがて孵化する雛を....