隈取り[語句情報] »
隈取り
「隈取り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隈取りの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
瑚樹垣の根には蕗の薹が無邪気に伸びて花を咲きかけている。外の小川にはところどころ
隈取りを作って芹生が水の流れを狭めている。燕の夫婦が一つがい何か頻りと語らいつつ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
かにした顔に描いてやれ、腫物とは見えない人の顔に」彼は、人の顔らしく地塗りをし、
隈取りをし鼻、口、眼と描き入れかけた。病友はここまで歯を食い縛って我慢していたが....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
は、久我さんの言を借りれば――動機変転。ねえ、そうでございましょう。でも、そんな
隈取りは、もう既に洗い落してしまいましたわ。偽悪、衒学……そういう悪徳は、たしか....
「丸善と三越」より 著者:寺田寅彦
じる事になるだろうし、おとなに対しても三越というものの観念に一つの新しい道徳的な
隈取りを与えはしまいか。生き物だから飼っておくのはめんどうだろうが。 「三越に大....
「労働者の居ない船」より 著者:葉山嘉樹
はいやだ!」と彼は叫んだ。 彼は、吐瀉しながら、転げまわりながら、顔中を汚物で
隈取りながら叫んだ。 「俺は癒るんだ!」 「生きてる間丈け、娑婆に置いて呉れ」 ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
。裾を浮かすと、紅玉に乳が透き、緑玉に股が映る、金剛石に肩が輝く。薄紅い影、青い
隈取り、水晶のような可愛い目、珊瑚の玉は唇よ。揃って、すっ、はらりと、すっ、袖を....
「郷土的味覚」より 著者:寺田寅彦
させる。引抜くと、きゅうっきゅうっと小気味の好い音を出す。軟らかい緑の茎に紫色の
隈取りがあって美しい。なまで噛むと特徴ある青臭い香がする。 年取った祖母と幼い....
「雑記帳より(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
花の中でも花の固有の色が単純で遠くから見てもその一色しか見えない花と、色の複雑な
隈取りがあって、少し離れて見ると何色ともはっきり分らないで色彩の揺曳とでも云った....
「人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
…。」 糸切歯のあたりの金をぴかっとさして笑ったが、その拍子に、眼の縁の薄黒い
隈取りが赤くなった。 餉台のまわりには子供達が、燕の子のように口を並べて、彼が....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
す。聖ルイスふうをした騎士たちは婦人たちに手を差しのべていると、相手の婦人たちは
隈取りをした顔を扇にかくしていて、ただ白粉のついている額と、眼のふちに眼張りをし....
「おせん」より 著者:邦枝完二
いけねえ。おれァ師匠の使いで、おせんのとこまで行かにゃならねえんだ」 七
隈取りでもしたように眼の皮をたるませた春重の、上気した頬のあたりに、蝿が一|匹ぽ....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
というものは却ってまた格別なおもしろさがあるものだと私はおもった。 役者の顔の
隈取りはとても日本ではみられないおもしろさがあった。道化役者の鼻先を朱で塗り、そ....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
が、顔に乗って見えません。 あざにしても、黒子にしても、云うまでもなく顔一杯の
隈取りに至るまで、旧劇のメーキアップは、この乗るか外るかが「舞台顔」には、身性の....