随所[語句情報] » 随所

「随所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

随所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
松江印象記」より 著者:芥川竜之介
に変わるまで、水は松江を縦横に貫流して、その光と影との限りない調和を示しながら、随所に空と家とその間に飛びかう燕《つばくら》の影とを映して、絶えずものういつぶや....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
― これは近頃の事であるが、遠く文献を溯《さかのぼ》っても、彼に関する記録は、随所に発見される。その中で、最も古いのは、恐らくマシウ・パリスの編纂したセント・....
初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
地にてなし能《あた》わずんばさらにかの地に行くというような、いわば天下を家として随所に青山あるを信ずる北海人の気魄《きはく》を、双手《もろて》を挙げて讃美する者....
第五氷河期」より 著者:海野十三
り取られ、やがて一大音響とともに、氷河の上に崩れかかるというものすごい光景さえ、随所に演じられた。 だが、誰も、それを見た者はなかった。高さ数百メートルの氷河....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
たから、みんなとの統一を得られなかったのだ。いつでも非常なよい声で唄をうたって、随所の一団に中心となるおとよさんが今日はどうしたか、ろくろく唄もうたわなかったか....
志賀直哉氏の作品」より 著者:菊池寛
ある。厳粛な表現の撰択からくる正確の力強さである。こうした氏の表現は、氏の作品の随所に見られるが、試みに「好人物の夫婦」の書出しの数行を抜いて見よう。 「深い秋....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
川筋を、一つらに渺々と汐が満ちたのである。水は光る。 橋の袂にも、蘆の上にも、随所に、米つき虫は陽炎のごとくに舞って、むらむらむらと下へ巻き下っては、トンと上....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
又その轍をふまぬか?』 真人の出現――神の恩沢は汝の想像以上である。今や世界の随所に真理の中心が創設せられ、求むる者に慰安を与え、探る者に手懸りを与えつつある....
辞書」より 著者:折口信夫
る。枕ごと、あるいは歌枕というようなものを覚えさせている。平安朝の文学をみると、随所にその俤がみえる。そういうことばを覚えることは、古くは信仰のためであって、後....
雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
は我々のあえて意に介しないところである。文中おもしろいとかつまらないとかいう語が随所に出てくるはずであるがそれらの語の標準を奈辺においているかは右によつておのず....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
ならば、難波の前に千日前、堂島の前に京町堀、天満の前に天神橋といったあんばいに、随所に直営店をつくり、子飼いの店員をその主任にした。 支店と直営店とは、だいい....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
土を振うがごとく乱るる煙は。―― 見当が、我が住む町内に外れても、土地の人には随所に親類も知己も多い。多津吉の同伴はこの岨路を、みはらしの広場下りに駆出した。....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
値がない幼稚の作であるにしろ、洋画の造詣が施彩及び構図の上に清新の創意を与えたは随所に認められる。その著るしきは先年の展覧会に出品された広野健司氏所蔵の花卉の図....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
糞壺もなければ小便|溜もなく皆|垂流しなり、然れども警察の取締皆無のため往来の人随所に垂流すが故に往来の少し引込みたる所などには必ず黄なるもの累々として堆く、黄....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
。 (強い風が海面を吹きぬけ、夕陽が波頭を照らし、噴き上がる飛沫は霧となり、虹が随所に浮かぶのである。) 二十日、晴れ。逆風いまだやまざるも、激浪少しく収まる....