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隔たる
「隔たる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隔たるの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
はつやのまめやかな心と言葉に引かされてそこにい残る事にした。
これだけ貞世から
隔たると葉子は始めて少し気のゆるむのを覚えて、腹部の痛みで突然目をさますほかには....
「職工と微笑」より 著者:松永延造
て、普段でも、眼から二寸位は離れているが、驚いたり、怒ったりする時は三寸五分位に
隔たる。もっと驚いたら、後頭部の方へと廻って行って了い相な気さえする。西洋人は怒....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
ものであって、思ったよりは微弱であった。そのうえ、丁度空気の受けた波動が、空間の
隔たるに従って微《かす》かになるように、この心理上の変動も、時間の立つに従って薄....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
幅広の絹の色が鮮《あざやか》な翼を片鬢《かたびん》に張る。 「さあ」と小野さんは
隔たる人を近く誘うような挨拶《あいさつ》をする。 「どちらへか御出掛で……」と立....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
に繰返して、大分の時間が経ったから。 と思う内に、車は自分の前、ものの二三|間
隔たる処から、左の山道の方へ曲った。雪の下へ行くには、来て、自分と摺れ違って後方....
「私の貞操観」より 著者:与謝野晶子
齬が多くて一家の平和を破る事にも気が附いたに違いない。 また一方に種族の階級が
隔たるほど、女が劣等な男子を聟にすることは恥辱である。自然男子を選択する風が行わ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
う言いながら、白雲は松林の間を、縦横に歩いて行くと、ふと、人の声がする。一町とは
隔たるまいところで……やはりこの松林の中で、松の木の下で、極めて平凡な人間の声が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
られた方向を眺めても、やっぱり山の形は見えないようです。見えるとすれば、この間を
隔たる幾日かの前後に、田山白雲を※徊《ていかい》顧望せしめた、勿来《なこそ》、平....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
戴ね」
「うむ、萌《もゆる》さん――君もいったい心がけがよくない」
と白雲は、押
隔たる娘の面《かお》を浅ましげにながめて、たしなめると、
「マドロスさん、そんな....
「源氏物語」より 著者:紫式部
く人に愛されようと艶に作っておいでになるお姿に、若い心の惹かれていぬわけはない。
隔たる日の遠くなればなるほど恋しく宮をお思いするのは中の君であって、あれほどに、....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
ように巫山戯ながら、船を呼ぼうとしやあがるな。誰が狗鼠、遣るもんか」 五十間も
隔たる向河岸ながら、手に取るように其|独言が響くと間もなく、手桶を置いて片手なが....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
皆南方の風にも震えり、しかれども熊本城ははるかに雲のあなたにて、ここは山川四十里
隔たる離落、何方《いずかた》の空もいと穏やかにぞ見えたる、 いと長き旅に疲れし....
「靄の彼方」より 著者:上村松園
からです。今、今のことは万事裸にあらわに見え透きますが、もう五十年七十年と時代が
隔たるにつれまして、そこに一と刷毛の美しい靄がかかります。私はこの美しい靄を隔て....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
師らが説はさておき、まことにおのずから成れる奇窟なるべく、東の出口と西の入口と相
隔たること窟の外にてもおよそ一町ほどなれば、窟の中二町余りというも虚妄にあらじと....