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隔つ
「隔つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隔つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
しに一枚の紙をのぞきこみました。
「いざ、立ちてゆかん。娑婆界《しゃばかい》を
隔つる谷へ。
岩むらはこごしく、やま水は清く、
薬草の花はにおえる谷へ。」
....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
よう力衰え、息|逼《せま》りて、今や殪《たお》れぬべく覚ゆるころ、高岡より一里を
隔つる立野《たての》の駅に来たりぬ。 この街道《かいどう》の車夫は組合を設けて....
「恩を返す話」より 著者:菊池寛
もと》の細川越中守《ほそかわえっちゅうのかみ》の藩中は、天草とはただ一脈の海水を
隔つるばかりであるから、賊徒蜂起の飛報に接して、一藩はたちまち強い緊張に囚われた....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
間に対しているように思って、与四郎に対して、一種の懐しさをさえ覚えた。主従の境を
隔つる膜が除かれて、ただ人間同士として、向い合っているように思われた。 与四郎....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
いる。民子は僕の写真と僕の手紙とを胸を離さずに持って居よう。幽明|遙《はる》けく
隔つとも僕の心は一日も民子の上を去らぬ。....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
板か、壁か明かならず、低いか、高いか、定でないが、何となく暗夜の天まで、布|一重
隔つるものがないように思われたので、やや急心になって引寄せて、袖を見ると、着たま....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ていたろう。はじめてここに見出されたが、一つ目の浜の方へ、半町ばかり浜のなぐれに
隔つる処に、箱のような小船を浮べて、九つばかりと、八つばかりの、真黒な男の児。一....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
などするが、例えば雪の一片ごとに不思議の形があるようなもので、いずれも睡眠に世を
隔つ、夜の形の断片らしい。 すると、今見た女の顔は……何に憑いて露れたろう。 ....
「小春」より 著者:国木田独歩
光は鮮やかに現われて来る、画を見るよりも鮮明に現われて来る。秋の空澄み渡って三里
隔つる元越山の半腹からまっすぐに立ち上る一縷の青煙すら、ありありと目に浮かんで来....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
ませんでした。聞える筈もありますまい。 いまは、ただお米さんと、間に千尺の雪を
隔つるのみで、一人死を待つ、……むしろ目を瞑るばかりになりました。 時に不思議....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
とめて山の井の水飲みたりし、その冷かさおもい出でつ。さる時の我といまの我と、月を
隔つる思いあり。青き袷に黒き帯して瘠せたるわが姿つくづくと※しながら寂しき山に腰....
「妖怪学」より 著者:井上円了
)空間上の偶合(遠方) (二)時間上の偶合(未来) 空間上の偶合は、百里千里を
隔つる遠方のことを知るをいう。すなわち、夢中に想見したることと、千里以外に起これ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
をと、八蔵は隠し持ったる鉄棒を振翳して飛懸れば、非力の得衛仰天して、蒼くなって押
隔つれど、腰はわなわな気はあぷあぷ、困じ果てたるその処へ女房を前に銀平が一室を出....
「西航日録」より 著者:井上円了
天皇陛下の万歳を祝し奉り、日本食の祝宴を開く。余、言文一致体をつづりて、 千万里
隔つる旅の外までも今日のよき日を祝ひけるかな 耶蘇よりも遥かに古き紀元節是れ日の....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
島の対峙するを望む。その形わが富峰のごとく、円錐形をなせるもの多し。 赤道の雲を
隔つる旅路にて、富士のみ山の面影を見る 赤道をこえて以来、耳目に触るるもの、な....