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「隔り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隔りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
えども自然の支配下のものであろう。自然に冥通を得た翁の、僅にあずまと離れた空間の隔りに在る二人のいとし子に冥通の懸橋をさし懸けられぬいわれはなかった。だが翁の心....
新生」より 著者:島崎藤村
その二週間が彼に取っては可成《かなり》待遠しかった。隠して置いて来た節子と彼との隔りは既に東京と神戸との隔りで、それだけでも彼女から離れ遠ざかることが出来たよう....
俊寛」より 著者:菊池寛
の姿が映らずにはいなかった。 俊寛も、狂気のように走り出した。三人は半町ばかり隔りながら、懸命に走った。お互いに立ち止って待ち合せる余裕などはなかった。走るに....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
したら、当然消燈は、彼女が座席についた頃に実現されるであろう。そして、その時間の隔りによって、ゆうに暗影の一隅を覆うことが出来るのである。 押鐘津多子――あの....
転機」より 著者:伊藤野枝
動く自分を夢想するのだった。 しかし、その夢想と眼前の事実の間には、文字通りの隔りがあった。私はやはり夢想を実現させようとする努力よりも、一日々々の事に逐われ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
を送りぬ。 日は春日山の巓よりのぼりて粟ヶ崎の沖に入る。海は西の方に路程一里半隔りたり。山は近く、二階なる東の窓に、かの木戸の際なる青楓の繁りたるに蔽われて、....
関牧塲創業記事」より 著者:関寛
来且つ慣れたるを以て多く採る事となれり。依て尚多く採らんとの希望を起し、八九町も隔りたる所に多くあるを知り、且つ片山ウタ谷利太郎は其近き畑にて仕事をするを以て、....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
が片隅に小さくなって居たのがだんだん活発になり、運動に、水泳に、内外人間に少しの隔りもなくなり、和気靄々として国際的の空気を出して来たことは全く日本服の賜であり....
清心庵」より 著者:泉鏡花
摩耶も予もこの庵には籠りたれ。面合すに憚りたれば、ソと物の蔭になりつ。ことさらに隔りたれば窃み聴かむよしもあらざれど、渠等空駕籠は持て来たり、大方は家よりして迎....
涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
ンシャフトを持ってたかも知れない。あるいはこの後、ずっとがあろうと、どんな遥かな隔りがあろうと、それはなんでもないことだ。私らは私らのある時期の「想い出」ともな....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
、秋風やをとり上げても、『古今集』の人たちがとり上げたそれらとの間には越えがたい隔りがあった。 そのようなわけで、父俊成が幽玄ということを説きはじめるまで、父....
松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
速記術世に行われ演説をそのまゝ筆に上して世に伝うの便を得たり、親しく耳に聞くと、隔りて目に視ると、感情稍薄きに似たれども尚其の人に対し其の声を聴くの趣を存して尋....
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
では次第に結び付いて行く傾向がある。そうして新たに民族の数は殖えるが、御互い間の隔りは少くなって来る。世界一般を通じてもそれが行われ、一地方に於いてもそれが行わ....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
張する私をただ蔑んだ眼で見て笑うばかりでした。その時始めて、弟と私との間の大きな隔りを知り、情けない思いに一夜船を見ながら泣き明しました。 半年後、帰朝の途に....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ある。満州事変頃は両国の戦争力相伯仲していたが、僅かに数年のうちに彼我戦力の差に隔りを見た事がその後の東亜不安の根本原因である。 速やかに我らは強力なる統制の....