隔壁[語句情報] » 隔壁

「隔壁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隔壁の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
不審庵」より 著者:太宰治
物の霊長たる所以と愚案じ申次第に御座候。然りと雖も相互に於ける身分の貴賤、貧富の隔壁を超越仕り真に朋友としての交誼を親密ならしめ、しかも起居の礼を失わず談話の節....
球根」より 著者:寺田寅彦
が次第次第に実世間と離れて行くのを自分でも感じていた。彼と世間を隔てている透明な隔壁が次第に厚くなるのを感じていた。そしてその壁の中にこもって、ただひとり落ち着....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
うのは青竹のひと節に黒砂糖入り水羊羹をつめて凝固させたものである。底に当たる節の隔壁に錐《きり》で小さな穴を明けておいて開いた口を吸うと羊羹の棒がなめらかに抜け....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
坐って酒を飲んだり相談をしたりしたのだ。一面に真白に塗って、鉱金で玉縁にしてある隔壁には、きたない手の痕がついていた。何ダースというたくさんの空罎が、船の揺れ動....
言語と道具」より 著者:寺田寅彦
ある。しかしこの迷理を救うものは「方則」である。皮相的には全く無関係な知識の間の隔壁が破れて二つのものが一つに包括される。かようにしてすべての戸棚や引出しの仕切....
紫の壜」より 著者:豊島与志雄
かった。軍服というものは不思議なもので、それが、自分自身と外界の事物とを遮断する隔壁となる。そういう軍服みたいなものを、私はもう持たなかった。自分自身が、その室....
レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
ストルで切る実験もここで行われた。この室と煉瓦壁を隔てた一室が寝室であって、この隔壁に穴をあけて音響学実験の際に便利なようにした。実験室の階下が工場で、その隣室....
旧藩情」より 著者:福沢諭吉
、筆にも記《しる》しがたき語風の異同は枚挙《まいきょ》に遑《いとま》あらず。故に隔壁《かくへき》にても人の対話を聞けば、その上士たり、下士たり、商たり、農たるの....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
、歎き、悼み、一瞥にさえ心の傷む風景だった。 竜太郎は、車窓の窓掛をひき、固い隔壁に凭れて眼をとじる。 バルカンの沈鬱な風景も、荒々しい気質も、猥雑な乗客の....
黒船前後」より 著者:服部之総
いうので、さらに、セカンド・デッキ以下を、船長六十フィートごとに完全に遮断する横隔壁を設け、船首と船尾にはもうひとつ特別な隔壁を作った。 鉄の船は沈む――とい....
教育の目的」より 著者:新渡戸稲造
我日本に於いては、封建|割拠《かっきょ》の制度からも、自然と地方地方の人の間に隔壁を生じ、互に妙な感情を持つに至った。近頃は大分に矯正されたけれども、なお大分....