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「隙見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隙見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇遇」より 著者:芥川竜之介
の鸚鵡《おうむ》を飼いながら、これも去年の秋|幕《まく》の陰《かげ》から、そっと隙見《すきみ》をした王生の姿を、絶えず夢に見ていたそうである。 「不思議な事もあ....
路上」より 著者:梶井基次郎
《な》れたあとまでも、またしても味わうのであった。 閑散な停留所。家々の内部の隙見える沿道。電車のなかで自分は友人に、 「旅情を感じないか」と言って見た。殻斗....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
面から平気でのぞく訳にはまいりません、壁虎のように扉のかげに小さく隠れて、そっと隙見を致しているのですから、暗い土蔵の中はよく見えません。唯った一つの手燭の灯が....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
面の襖が開いた。だが、一杯に開いたのではない、ほんの細目に開いたのであった。誰か隙見をしているらしい。 「無礼な奴だ」と思い乍ら、越前守は睨み付けた。 と、ピ....
海底都市」より 著者:海野十三
るのだ。 影の人だ。僕は影にいて、賞讃でもみくちゃになるカビ博士をくすぐったく隙見《すきみ》しているわけだった。 僕は、ほんとなら、このお祭さわぎの席には顔....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
らぬ、手を取ってはならぬ、うむ、そうして跪座《ひざまず》いてはならぬ」 「ははあ隙見をしていたな」 「見守っていたのだ、厳しくな!」 「手を下されたのは桔梗様だ....
地獄の使者」より 著者:海野十三
はい、それは……」家政婦は苦しそうに目を瞬いて「実は、私が旦那様に内緒で、奥から隙見して居りますと、ちゃんと外から女が入って参りますし、またその女が帰るときは旦....
火星兵団」より 著者:海野十三
でしょうね」 「違うよ違うよ。あれは本物の丸木だ。わしはかげのところから、そっと隙見をしていて、知っているよ」 と、佐々はにが笑いをして、 「そこで先生。わし....
怪塔王」より 著者:海野十三
なりません。その魔物は岩のかげから、黄いろい眼を光らせながら、帆村の様子をそっと隙見しているような気がします。 (なぜこう気味がわるいのだろう。僕は急に臆病者に....
死者の書」より 著者:折口信夫
。そうして、其内側には、夏冬なしに簾が垂れてあって、戸のあげてある時は、外からの隙見を禦いだ。 それから外廻りは、家の広い外郭になって居て、大炊屋もあれば、湯殿....
最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
巫女生活の記念という側から見ると、そう一概にも定められぬところがある。景行天皇に隙見せられた美濃ノ国|泳の道を知りませんから」というのである。 おなじ天皇が、....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
もらいたい! 貴殿見るのは止めたほうがいい」 しかし富士型の額を持った武士は、隙見をすることをやめなかった。 「今、あのお方は頤を両手でささえておられる。蝮の....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
であるが、松篁は春になるまで待ちきれず、ときどき廊下の隅の金魚鉢の菰をひらいては隙見していた。そして好きな金魚が寒鯉のように動かずじっとしていると心配になるとみ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
の前まで歩いて来た、私はもう息が詰りそうな気がした。しかし幸にも彼女は窓の外から隙見していることなど全く気がつかないようだった。静かに私達の目の前のブラインドを....
深夜の客」より 著者:大倉燁子
きました。が、親友がしっかりと手を押えているので、戸棚から出ることも出来ません。隙見しているのではっきりとは見えませんが、どうやら仙ちゃんと冬子の手が時々触れ合....