際物[語句情報] »
際物
「際物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
際物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
「駄目です駄目です。制服なんかやったって、どれだけ儲かるもんですか」
そんな
際物《きわもの》仕事が、自分の顔にでもかかるか何かのように考えているお島は、そう....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
来享楽的なのか、時どき踊りに来るほか、数名の華族のいわゆる若様が顔を見せて、ある
際物雑誌にその行状記を素ッ破抜かれた。 春隆もその槍玉に挙げられた一人だが、も....
「読書法」より 著者:戸坂潤
新聞の企ても始まった。この原因については色々研究しなければならないが、一つは所謂
際物出版物に対する反感から、本当に読める書物を、という気持が与って力があったろう....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
って咽喉を突いてる、血がポタポタ滴れそうな仕掛になっている。この種のものは色々の
際物――当時の出来事などが仕組まれてありました。が、私の記憶しているのでは、何で....
「辞典」より 著者:戸坂潤
命乃至精神が成立すると考える。その限り悉く之は機械論的唯物論の範疇を出ない。その
際物質と考えられたものは、そして悉く物理学的範疇としての物質の範囲を出ない。物質....
「死体の匂い」より 著者:田中貢太郎
体にすこしも怪我をしていなかった。ここで夫婦は戸外へ出て一夜を明かしたところで、
際物師の書肆が来て、地震の趣向で何か一枚|摺をこしらえてくれと言った。魯文は露店....
「家庭の人へ」より 著者:寺田寅彦
ど猛烈なものであったような気がする。これは単に心理的にそう思われたばかりでなく実
際物理的にもそうであろうと思われる。そうしてその恐ろしさは単に落雷が危険であるか....
「物理学実験の教授について」より 著者:寺田寅彦
重力のみ働き空気の抵抗や電気磁気などの作用がないとした場合の事である。しかるに実
際物体を落す場合に完全な真空で完全に他の力を除外して実験する事はなかなか面倒であ....
「アインシュタインの教育観」より 著者:寺田寅彦
りにも踏み込んでくる。そしてそこで始めて、多数の公開観覧所が卑猥なものやあくどい
際物で堕落し切っているのに対して、道徳的なものをもって対抗させる機会を得るだろう....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
ムの紋切型の観察や断定だけで、彼の個性を伝えていると思われるものはない。こういう
際物について不足な資料で感想をのべるのは好ましいとは思わないが、目下の私の状態で....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
「うん、そうさ、だからいいのさ。つまり何んだ、はしりだからな。そうとも素敵もねえ
際物だからな。……もっとも他にも筋はある」 「ええ、そりゃありますとも。追分唄い....
「明治の戦争文学」より 著者:黒島伝治
斎、戸川残花、遅塚麗水、福地桜痴等は日露戦争、又は、日清戦争に際して、いわゆる「
際物的」に戦争小説が流行したとき、それぞれ、こぞって動員されている。これは、取り....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
つづきは一組五銭、七、八銭、十銭ぐらいで、武者絵や風俗絵や、新聞記事を材料とした
際物や、その種類はもちろん一様でなかったが、錦絵の中で最も光彩を放っているのはや....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
というのに、まだ五枚と進んでいないのだ。いや、書くことが何もないのだ。それに、実
際物を書くべくいかに苦患な状態であるか――にもかかわらず、S君は毎日根気よくやっ....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
堂々としたいいかたをいつかもつようになった。わたしのそこを去ったあと、それまでの
際物問屋、漬物屋、砂糖屋、その外一、二けんを買潰して出来たのがその銀行である。い....