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障子紙
「障子紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
障子紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
じめと降り続く秋雨に湿《しと》った夜風が細々と通《かよ》って来て、湿気でたるんだ
障子紙をそっとあおって通った。古藤は葉子の顔を見るのを避けるように、そこらに散ら....
「或る女」より 著者:有島武郎
ょう》に葉子の手もとをすり抜けて身をかわした。葉子はふらふらとよろけて一方の手を
障子紙に突っ込みながら、それでも倒れるはずみに愛子の袖先《そでさき》をつかんだ。....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
畳の間の真中《まんなか》にぺたりと坐り込み、腕《うで》ぐみして肩で息をしながら、
障子紙の破れたところをじっと睨んでいた。柳吉は三味線の撥《ばち》で撲られた跡《あ....
「部屋」より 著者:宮本百合子
て宿題をしていた百代は、子供らしく下からさをを見上げた。 「なあに」 さをは、
障子紙に銀杏返しの鬢を擦る程首を廻して玄関の方へ気を配りながら繰返した。 「――....
「物理学圏外の物理的現象」より 著者:寺田寅彦
えにあのような角が出るか。角の数が何で定まるか、これも未知の問題である。すすけた
障子紙へ一滴の水をたらすとしみができるが、その輪郭は円にならなくて菊の花形になる....
「火星兵団」より 著者:海野十三
の化物みたいな大男は、ものを言うたびに、唇を境にして、鼻の下からあごまでの間が、
障子紙のように、ぶるぶるふるえるのだった。どうも只者ではない。
「僕、おどろいた....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
を仕切った二枚の障子が、すっと開いて、開いた、と思うと、すぐと閉った。穴だらけの
障子紙へ、穴から抜けたように、すらりと立った、霧のような女の姿。 姿を。…… ....
「一九二九年一月――二月」より 著者:宮本百合子
清澄な日ざしがその椽側に照り、障子が白く閉って居る。障子に小枝の影がある。微かに
障子紙の匂いを感ずる―― 食べたいものの第一は支那料理の白菜羹汁だ。それからふ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、日が全く没した時に、中に燈火の気配もなく、前に雨戸が立てきられるでもなく、白い
障子紙がそのまま夜気を受けてさらされている色は、また極めて陰深のものになりました....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
窓《むそうれんじまど》というあれなんです。風を避けるためには、通常その外側の方へ
障子紙を張って、単に明り取りだけの用に供しているが、ここではまだ、紙を張ってしま....
「静岡地震被害見学記」より 著者:寺田寅彦
て南へ行くに従って損害が急に眼立って来た。庇が波形に曲ったり垂れ落ちかかったり、
障子紙が一とこま一とこま申合わせたように同じ形に裂けたり、石垣の一番はしっこが口....
「花子の陳述」より 著者:豊島与志雄
にはっきり眼が見えました。きっと、わたしの原稿を盗み見していたに違いありません。
障子紙がありましたら、少し下さいませんか。あの穴をふさいでやりますから。」 障....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
、お高は、灯を入れに起つひまがなかった。起つ気にも、なれなかった。夕風が渡って、
障子紙の糊《のり》のはげた部分を、さやさやと鳴らした。風には、雨のにおいがしてい....
「大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
り、おまけに生き生きと若返った。古障子の破れ穴のように無気力だった京都は、新しく
障子紙を貼り替えたのだ。かつての旦那だった大阪は、京都ではただで飛んでいる蛍をつ....
「香気の尊さ」より 著者:佐藤垢石
なく家族一同の口へ平均にくばれない時がいい。 それからキャベツの葉か、ぬらした
障子紙三、四枚に包み、灰の中へ埋めて上から火を焚くか炭火をおこすと鮎は蒸焼きになる。これも素敵に美味しいのである。....