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「隠士〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隠士の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
岩石の間」より 著者:島崎藤村
、復た隣の自分の室の方へ行った。受持の時間が済めば、先生は頭巾《ずきん》のような隠士風の帽子を冠って、最早《もう》若樹と言えないほど鬱陶《うっとう》しく枝の込ん....
運命」より 著者:幸田露伴
早晩に朝する。 建文帝|是の如くにして山青く雲白き処に無事の余生を送り、僊人隠士の踪跡沓渺として知る可からざるが如くに身を終る可く見えしが、天意不測にして、....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
奇人はこの医者ばかりでは無い。旧士族で、閑散な日を送りかねて、千曲川へ釣に行く隠士風の人もあれば、姉と二人ぎり城門の傍に住んで、懐古園の方へ水を運んだり、役場....
碧眼托鉢」より 著者:太宰治
ったのです。」 かれこそ、厳粛なる半面の大文豪。世をのがれ、ひっそり暮した風流隠士のたぐいではなかった。三十四歳で死したるかれには、大作家五十歳六十歳のあの傍....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
勢は庵の前に拝して、その願意を申し述べると、道人はかしらをふって、わたしは山林の隠士で、翌をも知れない老人である。そんな怪異を鎮めるような奇術を知ろう筈はない。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ノ一人……というところにばかに調子を振込んで道庵が力《りき》み返り、 「中古ニ隠士|徳本《とくほん》ナルモノアリ、甲斐ノ人也――」 そこで案《つくえ》を一....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
大勢は庵の前に拝して、その願意を申し述べると、道人は頭をふって、わたしは山林の隠士で、今をも知れない老人である。そんな怪異を鎮めるような奇術を知ろうはずがない....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
う紐《ひも》だけしか残っていなかった。岩の上で烏《からす》に養われた聖《きよ》い隠士らに、クリストフは自分を比較してみた。しかしすべての隠士を養うのは、この烏に....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
演奏会を指導していた。若い娘たちはエドモン・ジェローの歌詞であるサン・タヴェルの隠士を歌っていた。骨牌《カルタ》のナーン・ジョーヌはミロアールに代えられていた。....
生前身後の事」より 著者:中里介山
用でもあるまい。 利休が旺《さか》んな時代に、これも並び称された無量居士という隠士は死の直前に於て、それまでに書いた自分の筆蹟類をすっかり買い集めてそれを積み....
雪霊記事」より 著者:泉鏡花
ら、雪にむせんで叫びました。 「魔が妨げる、天狗の業だ――あの、尼さんか、怪しい隠士か。」 大正十(一九二一)年四月....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
三百七十年ほど昔に、真庭念流八世又七郎という人が四代中絶していた念流を偽庵という隠士から伝授をうけた伝書や、その先代が柏原肥前守から神道流の伝授を受けた伝書など....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
葉し、落葉が飛石などを埋めている。その中に茅葺屋根が小さく見え、いかにも山の中に隠士でも棲んでいそうな処です。上へあがってからも、石川さんと来たことがあるので、....
上野」より 著者:永井荷風
配合せしめたのも蓋《けだし》偶然ではない。 上野の始て公園地となされたのは看雨隠士なる人の著した東京地理沿革誌に従えば明治六年某月である。明治十年に至って始て....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ろうし、決してまた、世にいう乞食坊主でもなかった。いわば僧形に身をやつした風流の隠士だったのである。 彼の前半生は全く不明である。出家は二十三歳のとき、崇徳天....