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隠宅
「隠宅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠宅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
じゃ」 「法眼さまがおなくなりになりましてから二年このかた、小石川の伝通院裏にご
隠宅を構えて、若党ひとりを相手に、ご閑静なお暮らしをしていらっしゃるとかのことで....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
という。東京の下町に人となった君は――日本橋|天馬町の針問屋とか、浅草|猿屋町の
隠宅とかは、君にも私に可懐しい名だ――恐らく私が今どういう人達と一緒に成ったか、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
預かった。 隠退後の吉左衛門が沈黙に引き換え、伊之助の養父金兵衛は上の伏見屋の
隠宅にばかり引き込んでいなかった。持って生まれた世話好きな性分から、金兵衛はこの....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ら中津川の方へ遊びに行き、月がかわって馬籠に帰って来ると持病の痰が出て、そのまま
隠宅へも戻らずに本家の二階に寝込んでいるからであった。伊之助にしても、お富にして....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
月あたりからその事のあるのを知り、あの半蔵が跡目相続の宗太夫婦とも別居して、一小
隠宅の方に移り住むようになった事情をもうすうす知っていた。勝重はかつて半蔵の内弟....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
たが、建築はなるほどすばらしいものだった。もちろんある大財閥の血統の一人のこれは
隠宅なので、構えが宏壮という種類のものではなく、隅々まで数寄を凝らしたお茶趣味の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もこの一夕はかなり暢気な気分になって、また万八へ帰り、そこで道庵と別れて亀沢町の
隠宅へ帰ったのは、夜もかなり更けていました。 この人は旗本の隠居でも、そんなに....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
私の住宅として、海から二三|丁引込んだ、小高い丘に、土塀をめぐらした、ささやかな
隠宅を建ててくださいました。私はそこで忠実な家来や腰元を相手に余生を送り、そして....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
の家が三軒のマンナカ、そしてそのほかには附近に人家は一ツもなかった。 三軒とも
隠宅という構えで、敷地も小さく家も小さいが、左近の家は特に小さい。もっとも、広か....
「四国遍路日記」より 著者:種田山頭火
でごまかす。 午前、高橋さん来訪、厚情に甘えて、新居へ移った、御幸山麓、御幸寺の
隠宅のような家屋、私には過ぎている、勿体ないような気がする。 高橋さんがいろいろ....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
が、霧隠れ雲隠れの秘薬とやら」 「それには又それで秘事口伝が有る。や、今夜拙老の
隠宅へ来なさい、何事も残らず打明けて語り聴かそう。それよりもこの屍骸じゃ。人目に....
「上野」より 著者:永井荷風
なる二階づくりで其の門墻も亦極めていかめしからざるところ、われわれの目には富商の
隠宅か或は旗亭かとも思われた位で、今日の紳士が好んで築造する邸宅とは全く趣を異に....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
なく江戸らしい好《よ》い心持なり。巻末に市川|白猿《はくえん》牛島《うしじま》の
隠宅にて成田屋と自筆の提灯を嵐雛助《あらしひなすけ》に遣《つか》はす処、これ人の....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
芸者家町であろう。路地の内に蔵造《くらづくり》の質屋もあれば有徳《うとく》な人の
隠宅《いんたく》らしい板塀も見える。わが拙作《せっさく》小説『すみだ川』の篇中に....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
それも雨に汚れて明《あきらか》には読み得ない。小説家清岡進の老父|熙《あきら》の
隠宅である。 初夏の日かげは真直《まっすぐ》に門内なる栗や楝《おうち》の梢《こ....