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隠形
「隠形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
た。竜樹菩薩《りゅうじゅぼさつ》も在俗の時には、王宮の美人を偸《ぬす》むために、
隠形《おんぎょう》の術を修せられたそうじゃ。しかし謀叛人になった聖者は、天竺震旦....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
と混じてかかる談が生じただろう。西北インドの俗信にジャッカル額に角あるはその力で
隠形の術を行うこれを截《き》り取りてその上の毛を剃って置くとまた生えると(一八八....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
らずさ」と法水は、苦笑を交えながら独り頷きをして、「事実も事実、ファウスト博士の
隠形聴耳筒たるや、時と場所とに論なく、僕等の会話を細大洩らさず聴き取ってしまうの....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
どを見ると天馬は外国最駿馬の美称だ。仏教にも飛馬あれど、〈身能く飛行し、また能く
隠形し、あるいは大にあるいは小にす〉と言うのみ翼ありと言わず(『増一阿含経《ぞう....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
な面を視た。水に拙いのであろう。喘ぐ――しかむ、泡を噴く。が、あるいは鳥に対する
隠形の一術であろうも計られぬ。 「ばか。」 投棄てるようにいうとともに、お誓は....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が、この安全地帯の、柳の木の前の高札場の下の、つまりがんりきの百蔵が只今、生得の
隠形《おんぎょう》の印《いん》を結んでいるところの、つい鼻の先まで来て、そこで言....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
歯の抜けたような枝ぶりの柳の大樹。 がんりきの百という野郎が、芝居気たっぷりで
隠形《おんぎょう》の印を結んだ木蔭。 あそこのところへ、また以前と同様な陣笠、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
取りようによっては、松遁《しょうとん》の術をでも使い出して、しばし太夫の位の下に
隠形《おんぎょう》の印《いん》を結んだかと思われる。
ですから、犬も、この第二....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
らぬもので、今までお銀様が気がつかなかったのは、燈火《あかり》の具合で、隅の柱に
隠形《おんぎょう》の印《いん》をむすんでいたからです。 お銀様は、ようこそあれ....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
即ち、木遁の一手であって身を木の形に順応させ而てその木と同化させる所の所謂「木荒
隠形」の秘法。それを使ったのでございます。易い言葉で申しますと、木目と同じような....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
んこっちへ近寄って来る。「貧乏神などと馬鹿にしてもさすがは神と名が付くだけに飛天
隠形自在と見える」 学問はあっても昔の人だけに、紋太郎には迷信があった。で忽然....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
へ戻ると思うから平気なもの。それとも直ぐ帰れなんのって、つれに来れば、ちょっと、
隠形の術を使うわ。――一座の花形ですもの。火遁だって、土遁どろどろどろ、すいとん....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ろう。」 松明は再び点されたが、広い穴の中に何者の影も見えなかった。幾ら※でも
隠形の術を心得ている筈はない。恐く何処にか隠れ家があろうと、四辺を隈なく照し視る....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
。「高野春秋」によれば、その折、一山はまったく協力同心して、一心不乱に“摩利支天
隠形法”を修していたものといわれている。 法力の功徳か、宮の御運がよかったもの....
「山の人生」より 著者:柳田国男
だ非凡なる怪力と強烈なる感情、極端に清浄を愛して叨りに俗衆の近づくを憎み、ことに
隠形自在にして恩讎ともに常人の意表に出でた故に、畏れ崇められていたので、この点は....