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隠然
「隠然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
隠然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「近時政論考」より 著者:陸羯南
二大論派がおのおのその一半を譲りて相調和したるの姿あり。この調和の後、暫時にして
隠然また二政論を現出す。これを維新後政論派の第一期となすべし。 外人は讐敵なり....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
く、度量|濶大にして、誠に国家の干城と言いつべき将軍なり。千々岩は早くこの将軍の
隠然として天下に重き勢力を見ぬきたれば、いささかの便を求めて次第に近寄り、如才な....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
平な中間地帯などではなかったのである。
さて初めに私は、自由主義が近代日本の
隠然たる社会常識だと云った。このことは日本が曲りなりにも高度に発達した資本主義国....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
としての哲学・ではない、それは常に――時には顕著に階級イデオロギーとしては時には
隠然と――イデオロギーとしての哲学である。 それがギリシアに於てであろうと印度....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
おごしょさま》の御愛妾の父なる人の別荘とわかった。この別荘の主人は娘の舌を通じて
隠然賞罰の権を握っていた。それで諸大名から油断無くここへ賄賂を送り、常に音問して....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
声が多く、結局、華麗は悲劇を殺す――と罵られた。勿論その声は、風間九十郎に対する
隠然たる同情の高まりなのであった。 風間九十郎は、日本の沙翁劇俳優として、恐ら....
「瘤」より 著者:犬田卯
位。 事実、村長はやめても、村農会長、消防組頭、いや、村会へまで出しゃばって、
隠然たる存在ではあったのである。 そういう津本新平は今年六十五歳、家柄ではある....
「米」より 著者:犬田卯
かく人並以上の容貌であることは、当のおせきにも分っていた――がいわゆる仇をなして
隠然公然、多くの男の慰み者に堕し、うまく立廻って小金は蓄めたか知れないが、そのた....
「クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
別々な批評精神に基いていると想像することは、あまり尤もでない。批評活動には顕然又
隠然、一貫した批評のメカニズムがあり、体系がなくてはならぬ。組織的な方法がなくて....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ては殖民政策の必要から非常に歓迎し、上陸後もまた頗る好遇して営業の安全及び利益を
隠然保護している。浦塩における日本の商売が盛んに発展しつつあるは畢竟醜業婦の背後....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
島に流され手錠《てじょう》の刑を受けたる卑しむべき町絵師の功績たらずや。浮世絵は
隠然として政府の迫害に屈服せざりし平民の意気を示しその凱歌《がいか》を奏するもの....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
家に贈賄し、その威はよく国司を圧迫して、国司もこれをいかんともすることが出来ず、
隠然一敵国の観をなしたのであった。されば心あるの士はこれを憤慨し、彼らは王地を押....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
外排斥するの挙を止めず、たとい表面何ら区別することなき場合といえども、そこになお
隠然融和し難き或る障壁の存するものあるは、因襲の久しき、漫然彼らは賤しきものなり....
「日本文化の特殊性」より 著者:戸坂潤
伝統を実感させない。つまり徳川時代に於て歴然たる成長を遂げたか、それとも引き続き
隠然たる勢力をなしたものか、に対する時に限って、今日に於ても、日本の一般民衆が伝....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
。その争いに国家の有するあらゆる力を用うるは当然である。平時の争いに於ても武力は
隠然たる最も有力なる力である。外交は武力を背景として行なわれる。 この国家間の....