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「隻語〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

隻語の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
咏《うた》って見たい。あれか、これかと思い煩《わずら》った末とうとう、 独坐無隻語。方寸認微光。人間徒多事。此境孰可忘。会得一日静。正知百年忙。遐懐寄何処。緬....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
も知られる。 然し更にその後呪いの鬼になった彼が、此署長の訊問中の不用意な片言隻語を捕えて、いかにそれを利用したか。読者諸君は一驚を喫せられる時があるであろう....
運命」より 著者:幸田露伴
て色|懌ばず、風声雨声、竹折るゝ声、樹裂くる声、物凄じき天地を睥睨して、惨として隻語無く、王の左右もまた粛として言わず。時に道衍少しも驚かず、あな喜ばしの祥兆や....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
あるんだね」 「作そのもの全体の御利益はまず疑わしい。しかし出てくる名探偵の片言隻語のうちには、なかなか味わうべきありがたい言葉があるよ」 彼はこういいながら....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
の地なく、崇仰の感に打たれたる学生は、滔々として説き来り説き去る師の講演を、片言隻語も漏らさじと、筆を飛ばしておった。この時聴衆の中に一人の年若き学生がいた。手....
それに偽りがないならば」より 著者:宮本百合子
せ、明るい光の下において検討された事件でないということを、今朝来、被告人等の片言隻語の中から受取ったのであります」(速記録による)そして大岡越前守が「あの封建時....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
める。要するに彼等は或る特殊の場合に、或る特殊の目的を以て現れたる、古経典の片言隻語を以て、一般的真理なりと思考して居るから困るのである。 全く以て度し難きは....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
とを、見出していた。彼女は心中を打ち明けはしなかった。しかしアルノー夫人は、片言隻語で察知することができた。ただ彼女にとっては、世の中は悲しい誤解ばかりのように....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ったような気がした。ろくに口もきけなかった。オリヴィエはもう彼からわずかな片言|隻語《せきご》をしか引き出すことができなかった。オリヴィエから尋ねられると彼は馬....
広場のべンチ」より 著者:豊島与志雄
な状態だった。経理面は岩田一人の手に握られていた。 最近になって、おかしな片言隻語が、下っ端の野呂十内の耳にもはいってきた。会社は社員そっくり抱えたまま身売り....
科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
もしれない。そこまで地図をあてにするのはあてにする方が悪いのである。権威者の片言隻語までも信ずるの弊は云うまでもない事であるが、権威を過信する弊害はあながちこれ....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
やさしくせよと直接教えられるのと少しも違わない。それどころかほんの一寸した片言|隻語、たとえば「平次は猶もあら縄たくり」と言う一句から、荒々しいものへの嫌忌の心....
妾宅」より 著者:永井荷風
外《ほか》の座敷へ行く辛《つら》さやら、とにかく寸鉄《すんてつ》人を殺すべき片言隻語《へんげんせきご》は、かえって自在に有力に、この忙しい手芸の間に乱発されやす....
怪談牡丹灯籠」より 著者:鈴木行三
文字能く人の言語を写すと雖も、只其の意義を失わずして之を文字に留むるのみ。其の活溌なる説話の片言隻語を洩さず之を収録して文字に留むること能わざるは、我国に言語直写の速記法なきが....