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雁
「雁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
杳《よう》として再び聞えなかった。
寛文《かんぶん》九年の秋、一行は落ちかかる
雁《かり》と共に、始めて江戸の土を踏んだ。江戸は諸国の老若貴賤《ろうにゃくきせん....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
しそうに、指さしていた。
「こう、見や。」
河内山は、小声でこう云って、煙管の
雁首《がんくび》を、了哲の鼻の先へ、持って行った。
「とうとう、せしめたな。」
....
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
、前田侯から大きな梅鉢《うめばち》の紋のある長持へ入れた寄付品がたくさん来た。落
雁《らくがん》かと思ったら、シャツと腹巻なのだそうである。前田侯だけに、やること....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
うにしずむ》明妃《みんぴ》青塚恨《せいちょうのうらみ》、耐幽夢《ゆうむにたう》孤
雁《こがん》漢宮秋《かんきゅうのあき》」とか何とか、題目正名《だいもくせいめい》....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
来た。その椿の葉には二枚とも、虫の食った跡《あと》が残っている。それが一つには帰
雁《きがん》とあり、一つには二とあったそうじゃ。合せて読めば帰
雁二《きがんに》と....
「或る女」より 著者:有島武郎
すりおろした。そして軽く麝香《じゃこう》の漂うなかで男の字のような健筆で、精巧な
雁皮紙《がんぴし》の巻紙に、一気に、次のようにしたためた。
「書けばきりがござ....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
程寒かった。私は一人の病人と頑是《がんぜ》ないお前たちとを労《いた》わりながら旅
雁《りょがん》のように南を指して遁《のが》れなければならなくなった。
それは初....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
すような売り声を立てる季節にはなったろう。浜には津軽や秋田へんから集まって来た旅
雁のような漁夫たちが、鰊の建網の修繕をしたり、大釜の据え付けをしたりして、黒ずん....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
りそうな白玉椿の清らかに優しい片頬を、水紅色の絹|半※でおさえたが、且は桔梗紫に
雁金を銀で刺繍した半襟で、妙齢の髪の艶に月の影の冴えを見せ、うつむき加減の頤の雪....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
◇ 向島は桜というよりもむしろ雪とか月とかで優れて面白く、三囲の
雁木に船を繋いで、秋の紅葉を探勝することは特によろこばれていた。季節々々には船が....
「梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
頃の上野には御承知の黒門があって、そこから内へは一切物売を厳禁していたから、元の
雁鍋の辺から、どんどんと称していた三枚橋まで、物売がずっと店を出していたものだっ....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
たの名を「きんかん」というのが最もよいとしている。この凧に附随したものは、即ち「
雁木」と「うなり」だが、長崎では「ビードロコマ」といって
雁木の代りにビードロの粉....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
たくさんだったのです。こうして二日ばかりこの沢地で暮していますと、そこに二|羽の
雁がやって来ました。それはまだ卵から出て幾らも日の経たない子
雁で、大そうこましゃ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
地なれば」とて辞し、夜食早くしたためて床に入りしが、既往将来の感慨に夢も結ばず。
雁の声いとど憐なりし。峠を越え山を下り野にはいろいろの春の草、峰にも尾にも咲きま....
「活人形」より 著者:泉鏡花
年月を過すうち、聞く東京に倉瀬とて、弱きを助くる探偵ありと、雲間に高きお姓名の、
雁の便に聞ゆるにぞ、さらば助を乞い申して、下枝等を救わむと、行李そこそこかの地を....