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「雁皮紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雁皮紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
すりおろした。そして軽く麝香《じゃこう》の漂うなかで男の字のような健筆で、精巧な雁皮紙《がんぴし》の巻紙に、一気に、次のようにしたためた。 「書けばきりがござ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いお家騒動の秘密は伝兵衛の報告と違いないことが確かめられた。澹山は一々それを薄い雁皮紙に細かく書きとめて、着物の襟や帯の芯のなかに封じ込んだ。 秘密の絵像を描....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
にうちぬいた封緘紙が貼りつけてある。封筒は行儀よく鋏で截られていて、なかに日本の雁皮紙《がんぴし》にしんかきでぴっしり書き埋めた厚い手紙が入っていた。細かく書き....
道標」より 著者:宮本百合子
ドンに行っていた足かけ五年の間に、まだその頃三十歳にかかる年ごろだった多計代は、雁皮紙《がんぴし》を横にたたんで、そこへしんかきのほそくこまかい字をぴっしりつめ....
面積の厚み」より 著者:宮本百合子
云う「彼女自身の経験」を否定することは、どうしても出来なかった。 どんなに薄い雁皮紙《がんぴし》でも、お粥《かゆ》の上皮でも皆厚みは持っている。 自分の見た....
」より 著者:宮本百合子
野原を散歩しているところなどを描いたのがついていた。気に入った絵があると、母は、雁皮紙をその上にのせ、丁寧にしきうつしをして、後から色だけを自分のこのみに従って....
父の手紙」より 著者:宮本百合子
円いランプがあって、母は留守の父のテーブルの上にそのランプを明々とつけ、その上で雁皮紙を詠草のよう横に折った上へ、細筆でよく手紙を書いた。白い西洋封筒は軽い薄い....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
がよい。どこまで読みました」 「はい、ここまで拝見しましたが」 と言ってお松は、雁皮紙刷《がんぴしず》りの一種異様な古版本のある頁を開いて、駒井の方へ示しました....
中条精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」より 著者:宮本百合子
グになった開きのついたデスクの上に、母は円ボヤの明るいラムプをつけた。その下で、雁皮紙を横綴にしたものへ、真書き筆で、こまごまと父への手紙をかく。雁皮紙は何枚も....
日記」より 著者:宮本百合子
てしまったので大あわてにあわてて墨をすり筆の穂をつくろって徳川時代を書いた古風な雁皮紙《がんぴし》とじたのと風俗史と二年の時の歴史の本と工芸資料をひっぱり出す。....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
得るものである。ましてある面積を有する平面を備《そな》うるものは必ず両面がある。雁皮紙《がんぴし》のごとき薄《うす》い紙でも表裏はある。綿衣《わたいれ》、袷《あ....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
し、目の翳りを医するからである。つまり目の掃除をするのである。 製紙用ガンピ二種雁皮紙をつくる原料植物、すなわちジンチョウゲ科のガンピには明かに二つの種類が厳存....
だしの取り方」より 著者:北大路魯山人
る。 どんなふうに削ったのがいいだしになるかというと、削ったかつおぶしがまるで雁皮紙のごとく薄く、ガラスのように光沢のあるものでなければならない。こういうので....
日本料理の基礎観念」より 著者:北大路魯山人
。どんなふうに削ったのがいい出汁になるのかと申しますと、削ったかつおぶしがまるで雁皮紙のごとく薄く、ガラスのように光沢あるものでないといけないのであります。こう....
手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
に貼ります。女の児への土産ものとしては相応しいものであります。熱海地方はかつて「雁皮紙」や「雁皮紙織」で聞えましたが、もう純粋な品は見られなくなりました。伊豆を....