雅致[語句情報] » 雅致

「雅致〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雅致の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:島崎藤村
ンキン》だった。一番長く居たところもあの旧《ふる》い都だった。 無器用なようで雅致のある支那風の陶器《せともの》とか、刺繍《ぬいとり》とか、そんな物まで未だ山....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
いるのが、彼にも見えた。 「蟇というものは一見すると無気味じゃが、よく見ると仲々雅致がある。決して池の蟇は殺してはならぬ」 純八は家人へ斯う云い渡して、却って....
」より 著者:島崎藤村
を尋ねた。先生は三吉の為に媒妁の労を執ってくれた大島先生のそのまた先生でもある。雅致のある書斎の壁には、先生が若い時の肖像と、一番最初の細君の肖像とが、額にして....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
から大切そうに取り出した。 自家用の自動車を老人が鼻の脂で十年間磨いたら、さぞ雅致あるハドソンが現れるだろうと思われる。自動車こそは女性のパラソルの流行とその....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
台町に間口は彼れ是れ二十|間許りで、生垣に成って居ります、門もちょっと屋根のある雅致な拵えで、後の方へまわると格子造りで、此方は勝手口で、格子の方をガラ/\と開....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の大池のある風景が眼下に見える。それには、造園技巧がないだけに、却ってもの鄙びた雅致があった。 小石川清水谷の坂を下ると、左手に樫や榛の大樹が欝蒼と繁茂してい....
土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
した玩具や、人形を作るようになって来たのは如何にも遺憾である。 郷土的な趣味や雅致あるものも、購買者が少なければ、製作者もこれに依って生活が出来ぬという経済的....
桐生通信」より 著者:坂口安吾
ります」 と報告する。報告しなくたってベルの音はきこえるよ。ゆうゆうたる物腰、雅致があってよかったが、不便でもあった。山の中にも電灯だけはあるから、ガスも電灯....
文化祭」より 著者:坂口安吾
はる威勢のいい撃退組もあるが、ハタから見ればこれも悲痛で感心できないものがある。雅致がない。もともと借金はセッパつまったものではあるが、すすんで特攻隊になるのも....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
寂が部屋にも、庭にも沈み、匂っていた。古びて荒れが見えてはいるが、※などにはない雅致が家のすべてにあった。庭には池があって八ツ橋がかかっていた。鯉のはねる音がし....
食堂」より 著者:島崎藤村
た。帳場のテエブルの上には、前の晩に客へ出したらしい料理の献立なぞも載せてある。雅致のある支那風な桃色の用箋にそれが認めてある。そんな親切なやりかたがこの池の茶....
現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
しても、ちょっと物認めるその字がかつての名茶人の物したごとく無理をせぬ、品の良い雅致と風懐を具えた見識あるものであるかどうか。少なくとも俗書の域を脱しているかど....
西航日録」より 著者:井上円了
ただし、街路および家屋に古代の風を存し、市中往々茅屋草舎を挟むがごとき、かえって雅致あり。その地にマリー女王の足をとどめし旧邸あり、またクロムウェルの築きし城趾....
書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
、十年も書架に晒らせば、紙の色が変り、装釘の色も褪せて、しかも和本に於けるように雅致の生ずることもなく、その見すぼらしさはないのであります。 これから見ても、....
しんぱくの話」より 著者:小川未明
ったでありましょう。 しかし、いまは、そのときの傷痕も古びてしまって、幹には、雅致が加わり、細かにしげった緑色の葉は、ますます金色を帯び、朝夕、霧にぬれて、疾....