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「雅趣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雅趣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
に荷物を投込み、直ちに水戸公園を見物する。芝原《しばはら》広く、梅樹《ばいじゅ》雅趣を帯びて、春はさこそと思われる。時刻は既に遅かったので、有名な好文亭は外から....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
だ、新鋭的尖端が漸く旧き古色と雅味を追い出そうとする折から、新日本の新尖端的滋味雅趣を求める事は無理だろう。 しかし、巴里なぞにはこの新らしき雅味が至る処に存....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
史と文句だけは、木曾の御岳山《おんたけさん》にも負けないものがあります、なかなか雅趣があっていいのがあります……だが、わが伊那の、天下に向って誇るべきことは、そ....
探偵小説アルセーヌ・ルパン」より 著者:婦人文化研究会
ている世にも愁《うれ》わしい図が描かれていた。その質朴な美、その色ざめた中にある雅趣、人物の姿は惨憺《さんたん》哀愁人に迫るものがあった。 客はこの名画名技の....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
うな風致あふるゝ心構えがあるのかも知れない。しかし春画を見るに際して、悠々として雅趣に富んだ顔付をしてみたって、救われるものではないだろうね。だいたい、悠揚せま....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
思います。 実に巴里の街は美しく、建築は立派だ。 ベルリンの街は家並が揃って雅趣がある。 日本の家は高いのがあったり低いのがあったりして見苦しい。 そん....
イオーヌィチ」より 著者:神西清
い表情によってであった。彼女のきものの着こなしまでが、その飾り気のなさや無邪気な雅趣によって、彼の眼には何かこう世の常ならぬ可憐なもの、いじらしいものに映るのだ....
淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
って驚嘆したのである。漆器美術の巧緻なことは、我々芸術を解せぬ者にも、当時の人の雅趣が思われたのだ。楽浪の墓陵を移して再現したものも見た。構成の偉大な、調度の配....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
面白い。 しかしこの蓼はその味からいえばポンツクだが、その姿からいえばまことに雅趣掬すべき野蓼で、優に蓼花の秋にふさわしいものである。茎は日に照り赤色を呈して....
余齢初旅」より 著者:上村松園
んでいるところなどがみられた。百姓家があったり、家が潰れかかっているさまも却って雅趣がみえて嬉しかった。小川があると、支那の田舎娘が菜を洗っている。どの畠にもお....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
に持っていた。前出した多くの句を見ても解る通り、蕪村の句には「さび」や「渋味」の雅趣がすくなく、かえって青春的の浪漫感に富んでいる。したがって彼の詩境は、「俳句....
俳人蕪村」より 著者:正岡子規
して言うべし。そは平凡なり。よらで過ぎ行くところ、景を写し情を写し時を写し多少の雅趣を添う。 顔しかめたりとも額に皺《しわ》よせたりともかく印象を明瞭ならしめ....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
その簡易にしてしかも突飛《とっぴ》なる形式と相俟《あいま》つてここに不可思議なる雅趣を示せしものなるべし。享保に入りては河東節《かとうぶし》その他の音曲《おんぎ....
私の仕事 松篁の仕事」より 著者:上村松園
位を借りに来る位で殆ど何をやっているのか分らない程です。以前と違い水墨の妙味とか雅趣があるとかいうような事は顧みられないで細密描写だとか言って細い線で描き倒して....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
正午太陽を望むに、ほとんど天頂にあるがごとし。暮天一鉤の新月を望むところ、大いに雅趣あり。終日片雲なきも、水蒸気の空中に満つるありて、清朗ならず。春天朦朧の観あ....