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雌蕊
「雌蕊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雌蕊の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の白沫より出現し極浄無垢の花の真中に驢《うさぎうま》の陽根《いちもつ》そのままな
雌蕊《めしべ》一本真木柱太しく生《はや》した、しかしその無類潔白な色を愛《め》で....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は、柳|蒲公英の黄金色の花と、肩を並べて咲いていた。そうして小さい一匹の羽虫が、
雌蕊を分けて飛び出した。と、花粉が空へ舞い、砂金のように四散した。 細い触角を....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
に鋸歯状の刻裂がある。四枚の花弁と四個の萼、花冠は大きく花梗は長い。雄蕊は無数で
雌蕊は一本、花弁散って殼果を残し、果は数室に分かれている室には無数の微細の種子が....
「この頃」より 著者:宮本百合子
見て、「クスリ」と人のわるい笑をもらしたあとで、あわててさき後れたきりしまの赤い
雌蕊《めしべ》にその身を置いてやるのも、この頃の私の心のさせることで有る。 人....
「高原」より 著者:寺田寅彦
物図鑑によると雄花と雌花と別になっているそうであるが、自分の見た中にはどうも雄蕊
雌蕊を兼備しているらしいものも見えた。 カワラマツバの小さな四弁花は弁と弁との....
「蓮」より 著者:豊島与志雄
。或はまた、大きな花を取ってきて、その真白の花弁を一つ一つむしり取り、黄色い雄蕊
雌蕊を中にのせ、宝を積んだ舟として、橋の上から川の真中に、幾つも幾つも流し浮べる....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
なる。お菊の肩は低く垂れていて、腕が今にも脱けそうであった。頸足の白さと長さとは
雌蕊を思わせるものがある。胴から腰への蜒り具合と来ては、ねばっこくてなだらかでS....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
から花弁と、――一枚々々、一枚々々と――だんだんほぐれて行くようである。 と、
雌蕊が現われた。処女の肉体が一糸も纏わず、白く艶々とむき出されたのである。 余....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
さに見えた。 「情無しのお方! 情知らずのお方!」 椿の花のような唇が開いて、
雌蕊のような前歯が現われたかと思うと、咽ぶような訴えるような、あやめの声がそう云....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
燈火の影を凝視した。
「たのうだようにしたが、やがて意味がわかったものと見える。
雌蕊のようにも白い頸を、抜けるほど前へ伸ばすようにしたが、
「ええええ、さようで....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ればすぐ判ることだ。元来花托とは花梗《かこう》の頂端で萼、花弁、雄|蕊《ずい》、
雌蕊の出発しているところではないのか。イチジクの花托についてこれまでの書き方は不....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
》とがあるが、この雄蕊《ゆうずい》は先に熟《じゅく》して花粉《かふん》を散らし、
雌蕊《しずい》に属する五柱頭は後に熟《じゅく》して開くから、自分の花の花粉を受け....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
夕よばれるさりげないことまでが、いちいち彼女の琴線には、こころよい語感になって、
雌蕊の命をふるわすのだった。 「…………」 今宵、彼女は文机のわきに、小さい土....
「それから」より 著者:夏目漱石
覗《のぞ》き込んだ。やがて、ひょろ長い雄蕊《ゆうずい》の頂きから、花粉を取って、
雌蕊《しずい》の先へ持って来て、丹念に塗り付けた。 「蟻《あり》でも付きましたか....