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雑多
「雑多〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雑多の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。こう言う小事件も彼の記憶に苦しいほどはっきりと残っている。思想は今後も彼の心に
雑多の陰影を与えるかも知れない。しかし彼は何よりも先に退職官吏の息子だった。下層....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
とで、余念なく遊んでいる虻蜂蜻蛉《あぶはちとんぼ》、――狭い流しにはそういう種々
雑多な人間がいずれも濡れた体を滑《なめ》らかに光らせながら、濛々《もうもう》と立....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
してもこの世界と別れなければならない彼自身が腹立しかった。それから――こんな種々
雑多の感情は、それからそれへと縁を引いて際限なく彼を虐《さいな》みに来る。だから....
「或る女」より 著者:有島武郎
った。ランプがほの暗いので、部屋のすみずみまでは見えないが、光の照り渡る限りは、
雑多に置きならべられたなまめかしい女の服地や、帽子や、造花や、鳥の羽根や、小道具....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
一幅《ひとはば》を裂《さ》いて糸も乱れず、一方は幅が狭い、三尺くらい、この下には
雑多な岩が並ぶとみえて、ちらちらちらちらと玉の簾《すだれ》を百千に砕《くだ》いた....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
ついておった。床の上に昇って水は乳まであった。醤油樽、炭俵、下駄箱、上げ板、薪、
雑多な木屑等有ると有るものが浮いている。どろりとした汚い悪水が、身動きもせず、ひ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
言葉をその素朴な用途に於て使用する。或る人は一つの言葉にも或る特殊な意味を盛り、
雑多な意味を除去することなしには用いることを肯んじない。散文を綴る人は前者であり....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
堪え切れぬ程暑く思える。殊にケルソン市の岸に立ち竝んだ例のセミオン船渠や、其の外
雑多な工場のこちたい赤青白等の色と、眩るしい対照を為して、突っ立った煙突から、白....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
無い、畳の摺剥けたのがじめじめと、蒸れ湿ったその斑が、陰と明るみに、黄色に鼠に、
雑多の虫螻の湧いて出た形に見える。葉鉄落しの灰の濡れた箱火鉢の縁に、じりじりと燃....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ては、一団の霊達が各自自分の書体で通信を寄越した。 『通信を受取る時の状態は種々
雑多であった。通則としては私が周囲と絶縁することが必要で、私の心が受身になればな....
「銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
から西洋臭いものを売る店が比較的多くありました。こういう店では大抵舶来の物を種々
雑多取り交ぜて、また新古とも売っておりました。例えばランプもあれば食器類もあり、....
「政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
は、まず何を措いても民衆に対する政治教育を盛んにすることである。 それには種々
雑多な方法があるであろうが、しかし、肝腎なことは、それを何人の手にもまかさず、我....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
であって、宇宙の中で一つ一つの小天地をつくっている。しかし、試みに旅に出てみよ。
雑多な民族が、到る処にうごめいているのを見よ。しからば人は、人間のごときものは、....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
眺められた。棟を並べた酒倉、白亜塗りの土蔵、石造のがっしりした穀倉、物置、その他
雑多な建物の一方に、往還に向って構えられた大きな母家……槻や欅や、裏山に繁る杉の....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
んだであろう。しかし他の部類のものもあった。軍隊の後から人夫、運搬夫等に、そして
雑多なる最下級の群が来て、それらは支那人から恐怖の混じた軽蔑をもって見られた。…....