雑書[語句情報] »
雑書
「雑書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雑書の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「並木」より 著者:島崎藤村
の店頭《みせさき》には立《たっ》て素見《ひやか》している人々もある。こういう向の
雑書を猟ることは、尤《もっと》も、相川の目的ではなかったが、ある店の前に立って見....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ますが」と鎮子はしばらく考えた後に云った。「もしお急ぎでしたら、彼方の製本に出す
雑書の中を探して頂きましょう」
鎮子に示された右手の潜り戸を上げると、その内部....
「運命」より 著者:幸田露伴
ば、吉凶禍福は、皆定数ありて飲啄笑哭も、悉く天意に因るかと疑わる。されど紛々たる
雑書、何ぞ信ずるに足らん。仮令数ありとするも、測り難きは数なり。測り難きの数を畏....
「書斎」より 著者:辻潤
た部屋だったのです。 私はこの三畳の部屋にひとり立て籠って妄想を逞しくしたり、
雑書を乱読したりすることをなによりの楽しみにしていました。 勿論、部屋の装飾と....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
ら土蔵一戸前受取るつもりで勝負をする。斯様いうことが稀有《けう》では無かったから
雑書にも記されて伝わっているのだ。これでは資本の威力もヘチマも有ったものでは無い....
「西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
机の上で書物から得たものである。事柄の内容のみならずその文章の字句までも、古典や
雑書にその典拠を求むれば一行一行に枚挙に暇がないであろうと思われる。 勿論、馬....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
あった。 しかし、そうした折りには、家人に命じて庭先に火を焚かせ、それに不用な
雑書類などを投げ入れるのである。それは、影像の楯をつくって、ひたすら病苦から逃が....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
へも出ずに籠っていたので、久しぶりで、長谷の方へ出掛けてみた。古本屋をあさって、
雑書を五、六冊手に入れて、それを風呂敷に包んで持っていた。さて引き返えそうとする....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
かろうかとおもうのである。 また、医学の書生の中にも毫も医学の勉強をせず、当時
雑書を背負って廻っていた貸本屋の手から浪六もの、涙香もの等を借りて朝夕そればかり....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
府の紅葉山の変遷から、御書物奉行九十人の伝記が集めてあり、奉行の伝記に関しては、
雑書の類まで広く漁った上に、その墓所をも一々踏査したのでした。京都府立図書館在職....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
一笑あれ、国男の君。 物語の著者も知らるるごとく、山男の話は諸国到る処にあり。
雑書にも多く記したれど、この書に選まれたるもののごとく、まさしく動き出づらん趣あ....
「妖怪学」より 著者:井上円了
乗れば、かごに酔うことなし。 以上は『秘事百撰』『人家必用』『旅行用心集』『大
雑書三世相』等の書中に見えたるものを掲ぐ。これみな、マジナイそのものに効験あるに....
「迷信解」より 著者:井上円了
より輸入したるものである。ただし、シナの正しき書物の中に見当たらずして、小説風の
雑書中に出ずる怪談なれば、いずれの年代に起こりたりしやは明らかならぬ。今『抱朴子....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
粉屋があって、またその隣に間口二|間ぐらいの床店同様の古本店があった。その店頭の
雑書の中に積まれていたのは、例のヘボン先生の和英字書であった。 今日ではこれ以....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
していた。 粗末なガランとした室内、大きなテーブル、椅子四、五脚、多少の器具、
雑書、壁に引かけた帽子、外套、極めて簡素で単純な色彩であった。 私は一揖して、....