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「雑然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雑然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ぼくぜい》」の算木《さんぎ》の旗、――そういうものが、無意味な一列を作って、ただ雑然と彼の眼底を通りすぎた。 「どうして己《おれ》は、己の軽蔑している悪評に、こ....
水の三日」より 著者:芥川竜之介
い。 教壇の方を見ると、繩《なわ》でくくった浅草紙や、手ぬぐいの截らないのが、雑然として取乱された中で、平塚君や国富君や清水君が、黒板へ、罹災民の数やら塩せん....
日光小品」より 著者:芥川竜之介
えたかたわらに動いている。機械の運転する響き、職工の大きな掛声、薄暗い工場の中に雑然として聞えるこれらの音が、気のよわい私には一つ一つ強く胸を圧するように思われ....
路上」より 著者:芥川竜之介
その畳の上には、ざっと二十人近い女の患者が、一様に鼠《ねずみ》の棒縞の着物を着て雑然と群羊のごとく動いていた。俊助は高い天窓《てんまど》の光の下《もと》に、これ....
槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
の角ばったのやら、ゆがんだ球のようなまるいのやら、立体の数をつくしたような石が、雑然と狭い渓谷の急な斜面に充《み》たされている。石の洪水《こうずい》。少しおかし....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
という名の下に呼んできたところの思潮には、最初からしていくたの矛盾《むじゅん》が雑然として混在していたにかかわらず、今日までまだ何らの厳密なる検覈《けんかく》が....
親子」より 著者:有島武郎
督は矢部の出迎えに出かけて留守だったが、父の膝許には、もうたくさんの帳簿や書類が雑然と開きならべられてあった。 待つほどもなく矢部という人が事務所に着いた。彼....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
織の国、理論の国、支那に来たのはこの像法の初め、教学時代の初めなのです。インドで雑然と説かれた万巻のお経を、支那人の大陸的な根気によって何回も何回も読みこなして....
去年」より 著者:伊藤左千夫
僕はこんなことを考えながら、台所へもどった。 親子九人でとりかこむ食卓は、ただ雑然として列も順序もない。だれの碗だれの箸という差別もない。大きい子は小さい子の....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
長い長いさやが千筋に垂れさがっている。家におった昔、何かにつけて遊んだ千菜畑は、雑然として昔ながらの夏のさまで、何ともいいようなくなつかしい。 堀形をした細長....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
私が子供の時に見たり聞いたりしたことを雑然とお話しようが、秩序も何もありませんよ。その上子供の時の事ですから、年代など....
「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
代などでは、劃然と飛びはなれた夢幻の境地であり、また現実の境地でもあります。騒音雑然、人事百端とも申すべき俗世界の世の中から、足一たびこの能楽の境域にはいります....
余齢初旅」より 著者:上村松園
って来る。人がたえず訪ねてくる。ひっきりなしである、とてもめまぐるしい。その騒然雑然たるさまはとても世間の人たちには想像がつくまいとおもう。 世間の人々は、私....
大叫喚」より 著者:岩村透
が、何処からともなく、嫌な声で、多くの人々の、悲鳴するような叫喚が、山に反響して雑然と如何にも物凄く聞えてくるので、乗客は恐ろしさに堪えず、皆その窓を閉切って、....
昔尊く」より 著者:上村松園
とは、絵を描く上にも、そのままあてはまるもののようでございます。何ということなし雑然とかかりましては、あれやこれやと騒ぎたちあわてるばかりで、失敗も多いわけにな....