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雕
「雕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
いるのは細いプラティナの指環《ゆびわ》だった。僕はその指環を手にとって見、内側に
雕《ほ》ってある「桃子《ももこ》へ」と云う字に頬笑《ほほえ》まない訣《わけ》には....
「運命」より 著者:幸田露伴
也と、更に異議を為して、以て学者を惑わす。是を訓詁の蠹という。道徳の旨を知らず、
雕飾綴緝して、以て新奇となし、歯を鉗し舌を刺して、以て簡古と為し、世に於て加益す....
「西湖主」より 著者:田中貢太郎
余年目に故郷へ帰ってきたが、洞庭を舟で通っていると、一艘の画舫がいた。それは檻に
雕彫をした朱の窓の見える美しい舟であったが、中から笙に合せて歌う歌声がかすかに聞....
「弟子」より 著者:中島敦
葉公《しょうこう》子高《しこう》は竜《りゅう》を好むこと甚だしい。居室にも竜を
雕《ほ》り繍帳《しゅうちょう》にも竜を画き、日常竜の中に起臥《きが》していた。こ....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
死、アーサー嗣《つ》ぎ立て武名を轟かせしが、父に倣《なろ》うてか毎《つね》に竜を
雕《ほ》った金の兜を着けたとあれば、英国でも竜を兜に飾った例は、五、六世紀の頃既....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ンのアッシリア壁画の帖があった。スタインの和※報告があった。前者はアッシリアの浮
雕を撮影した全紙の玻璃版で、極めて緻密なる細部の
雕刻までを鮮明に現わして殆んど実....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
り、この神の一族は蛇を族霊《トテム》としたから、この時も品地別命が肥長比売の膚に
雕《え》り付けた蛇の族霊の標《しるし》か何かを見て、その部族を忌み逃げ出した事と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
に三カ条を提示して所決を促したのも、西郷でも何でもない、実は犬山成瀬の家老|八木
雕《やぎちょう》であったのだ。近頃は薩摩の風向きがいいものだから、その薩摩を背負....
「聖家族」より 著者:堀辰雄
の顔の上にいつのまにか、十七の少女に似つかわしくないような、にがにがしげな表情を
雕《ほ》りつけていた。それは実に彼女自身への意地であったのだけれども、彼女には、....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
三、家庭を愛する事。殊に母堂に篤きが如し。 四、論争に勇なる事。 五、作品の
雕琢に熱心なる事。遅筆なるは推敲の屡なるに依るなり。 六、おのれの作品の評価に....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
根本から破壊した革命家であったが、同時に一面においてはまた極めて神経的な新らしい
雕虫の技術家であった。 自分は小説家でないとか文人になれないとかいったには種々....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
なって写真まで撮った。服部長八の漆喰細工の肖像館という見世物に陳列された椿岳の浮
雕塑像はこの写真から取ったのであった。 椿岳は着物ばかりでなく、そこらで売って....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は「文人でない」といいつつも久しぶりでの試みに自ずと筆が固くなって、余りに細部の
雕琢にコセコセしたのが意外の累いをした。が、『平凡』の時は二度目の経験で筆が練れ....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
ば世界における文学芸術の位置なぞは問題ではないのだが、儒教や武家の教養から文芸を
雕虫末技視して軽侮する思想が頭の隅のドコかに粘り着いていて一生文人として終るを何....
「十日の菊」より 著者:永井荷風
筆を執る時の心に比して遥に清絶であろう。一は全く無心の間事《かんじ》である。一は
雕虫《ちょうちゅう》の苦、推敲《すいこう》の難、しばしば人をして長大息《ちょうた....