»
雙
「雙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
た。 「お正《しょう》さん、お正さん?」 「ハイ」とお正《しょう》は顔を上げた。
雙眼《そうがん》涙を含める蒼ざめた顔を月はまともに照らす。 「僕はね、若し彼女《....
「村の怪談」より 著者:田中貢太郎
、本気になって小供の対手になるのも大人気ないので、そのまま往こうとすると、小供は
雙手《りょうて》を拡げて立ち塞がるようにする。 「角力をとろう、角力をとろう」 ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、およそ人世の珍とする物は備わらざるなしという有様であった。名香数|斛、宝剣一|
雙、婦女三十人、その婦女はみな絶世の美女で、久しいものは十年もとどまっている。容....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
の御居間の方には行燈の灯がすこし黄く光っていました。その行燈の下で奥様はなにか草
雙紙でも御覧になっている筈ですが、どんなお心持でその草
雙紙を読んでいらっしゃるか....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
ヘイト追従笑ヒナド泛ベタルハ、即チ羞恥ヲ知ラザル者ト言フガ如シ。サルヲ、猿ノ赤キ
雙頬ハ羞恥ノ花火ヲ揚ゲシ故ナリ。サレバ朝ニ猿ヲ友トセリ」 「昼ニ書ヲ読ミシハ?」....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
、くるりとさらったので、彼が云う様に憐れな甲虫は水に陥って、油をかけた緑玉の様な
雙の翊を無上に振い動かしながら、絶大な海の力に対して、余り悲惨な抵抗を試みて居る....
「轆轤首」より 著者:田中貢太郎
一 肥後の菊池家に磯貝平太左衛門武行と云う武士があった。頗る豪勇|無
雙の士であったが、主家の滅亡後、何を感じたのか仏門に入って、怪量と名乗って諸国を....
「死人の手」より 著者:田中貢太郎
「こんな臆病なことではならん」と思いました。で、強いて気を落着けようとして腹部に
雙手を当てました。それでも死骸を見るのは鬼魅が悪いので、眼は茶釜より他にはやりま....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
をした。ただわたしだけは口もきかずに沈んでいると、彼等は皆嘆息して気の毒がった。
雙喜という子供は中でも賢い方であったが、たちまち何か想い出して、「大船ならあれが....
「首頂戴」より 著者:国枝史郎
「成程……貴殿は……荊軻の身の上! ……が、今度は拙者より申そう、その或お方は無
雙の人物、失敗致そう、貴殿の計画!」 だが乞食は悠然と「運は天にござります。た....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
ピッタリと据えた。それから指で二の字を描いた。 と、老武士は口の中でいった。「
雙龍玉を争うの陣だ」 すると塊まっていた数人の乞食の、その一人が手を延ばし、ツ....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
のことだ?」 「我等十人十方に分れ、厳重に固めて居りますものの、五右衛門は本邦無
雙の術者、ジリジリ攻め込んで参ります」 「うむ」と秀吉は渋面を作った。 「そこで....
「向嶋」より 著者:永井荷風
南ヨリ来ツテ水波紋ヲ生ジ、新樹空ニ連ツテ風露香ヲ送ル。渡頭《ととう》人稀ニ白鷺|
雙々《そうそう》、舟ヲ掠《かす》メテ飛ビ、楼外花尽キ、黄※《こうり》悄々《しょう....
「古事記」より 著者:太安万侶
ルクマの命を將軍となさいました。かくて追い退けて山城に到りました時に、還り立つて
雙方退かないで戰いました。そこでタケフルクマの命は謀つて、皇后樣は既にお隱れにな....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
たのである。※東綺譚はその初め稿を脱した時、直《ただち》に地名を取って「玉の井|
雙紙《ぞうし》」と題したのであるが、後に聊《いささ》か思うところがあって、今の世....