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「雛壇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雛壇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
雛がたり」より 著者:泉鏡花
ん雛と数うるさえ、しおらしく可懐い。 黒棚、御廚子、三棚の堆きは、われら町家の雛壇には些と打上り過ぎるであろう。箪笥、長持、挟箱、金高蒔絵、銀金具。小指ぐらい....
」より 著者:島崎藤村
が起こった。お徳のにぎやかな笑い声もその中にまじって聞こえた。 見ると、次郎は雛壇の前あたりで、大騒ぎを始めた。暮れの築地小劇場で「子供の日」のあったおりに、....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
三を顰蹙せしめたものだが、お節句にはデパアトから幾箇かの人形を買って来て、子供の雛壇を賑わせたり、時とすると映画を見せに子供を四人も引っ張り出して、帰りに何か食....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
折ったり、色紙の鶴、香箱、三方、四方を折ったり、あらん限りの可愛いものを集めて、雛壇を飾った。 草餅が出来た。蓬は昨日鶴子が夏やと田圃に往って摘んだのである。....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
豊よかな頬にまで花の妍やかさを見せたる、やがての春も偲ばるるものである。 さて雛壇には内裏雛、五人囃、官女のたぐい賑やかに、人形天皇の御宇の盛りいともめでたく....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
疑わしい。それとも日が暮れると、白い首でも出てちとは客が寄ろうも知れぬ。店一杯に雛壇のような台を置いて、いとど薄暗いのに、三方を黒布で張廻した、壇の附元に、流星....
南地心中」より 著者:泉鏡花
い、成程、背後に居ました。」 「お珊の方かね、天満橋で見た先刻のだ。もっとも東の雛壇をずらりと通して、柳桜が、色と姿を競った中にも、ちょっとはあるまいと思う、容....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
いくつも、いくつも雪洞の火を啣えて踊る、ちらちら紅い袴が、と吃驚すると、お囃子が雛壇で、目だの、鼓の手、笛の口が動くと思うと、ああ、遠い高い処、空の座敷で、イヤ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
敷の上には、同じく鳩と菱《ひし》とを描いた幔幕《まんまく》が絞ってある。その下の雛壇のようなところへ、平常《ふだん》余り人中へ面《かお》を見せない奥方や女房や女....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の船長にそっくり。 大俎がある、白刃が光る、筏のように槍を組んで、まるで地獄の雛壇です。 どれも抱着きもせず、足へも縋らぬ。絶叫して目を覚ます……まだそれに....
怪人の眼」より 著者:田中貢太郎
眼の前を飛ぶような心地がした。渓のむこうも己の立っている周囲も、赤い毛氈を敷いた雛壇のような壇が一面に見えて、その壇の上には内裏雛を初め、囃子、押絵の雛がぎっし....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
なる調度を、黒棚よりして、膳部、轅の車まで、金高蒔絵、青貝を鏤めて隙間なく並べた雛壇に較べて可い。ただ緋毛氈のかわりに、敷妙の錦である。 ことごとく、これは土....
三枚続」より 著者:泉鏡花
乱れた桃の中、雪洞の灯で見たその時の美しさ。 しかも微酔と来ていましょう。もう雛壇を退けようという三日の晩、この間飾ってから起きると寝るまで附添って、階下へも....
オシラ神に関する二三の臆説」より 著者:喜田貞吉
あって、それゆえにその人形をまで「雛」といったとは受け取れない。 今日ふつうに雛壇に飾る人形は、種々雑駁なものになっているけれども、それは比較的近い時代以来の....
武鑑譜」より 著者:服部之総
に備えて、違警罪即決例、爆発物取締規則とともに華族令が布《し》かれ、公侯伯子男と雛壇づけられた中へ、成上り官僚の重信朝臣や博文《ひろぶみ》朝臣が頑丈な肩幅を割り....