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「難渋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

難渋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
、懐《ふとこ》ろ手をしながら、落葉や朽葉とともにぬかるみになった粘土質の県道を、難渋《なんじゅう》し抜いて孵化場《ふかじょう》の方へと川沿いを溯《さかのぼ》って....
高野聖」より 著者:泉鏡花
ざぶし》を痛めましたものと見える。 それからがくがくして歩行《ある》くのが少し難渋《なんじゅう》になったけれども、ここで倒《たお》れては温気《うんき》で蒸殺《....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
蹈みするところじゃありませんよ。」 まったく其頃の大久保は、霜解と雪解とで往来難渋の里であった。そのぬかるみを突破してわざ/\病気見舞に来たというので、老人は....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
来ごころから不意にそのゆく手に立ちふさがった。 「この師走に差迫って、浪人の身で難渋いたす。御合力くだされ。」 一種の追剥ぎとみて、相手も油断しなかった。彼は....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
、自分ばかりは、思い懸けない海の幸を、黄金の山ほど掴みましたに因って、他の人々の難渋ごときはいささか気にも留めませぬに、海のお世子であらせられます若様。人間界の....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
(もう一つの路はどうでしょうかしら。) と云った、様子には出さんでも、以前の難渋は、同然に困ったらしい。 もう一つと云うのは、小川が分れて松原の裏を行く、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
もっての外の事でござる。 また早い話が、この峠を越さねばと申して、多勢のものが難渋をするでもなし、で、聞いたままのお茶話。秋にでもなって、朝ぼらけの山の端に、....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
ことが必要で、私の心が受身になればなるほど、通信が容易であった。最初は筆の運びが難渋であったが、間もなく器械的運動が勝を占め、一頁又一頁と、苦もなく書き綴られる....
怪獣」より 著者:岡本綺堂
く診察して貰ったらいいだろうと思うが……。」 「はい。」 とは言ったが、番頭は難渋らしい顔色をみせた。さしあたり娘たちのからだに異状があるわけでもないのである....
経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
屋へ行った。お峰は大木戸前の万屋をたずねた。万屋の伯父はお峰の詰問を受けてひどく難渋の顔色を見せたが、結局ため息まじりでこんな事を言い出した。 「おまえ達がそれ....
良夜」より 著者:饗庭篁村
の東京人にてある年越後へ稼ぎに来りしが病に罹りて九死一生となり、路用も遣い果して難渋窮まりしを伯父が救いて全快させしうえ路用を与えて帰京させたれば、これを徳とし....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
大笹へ入ったので。はじめから歩行くつもりではありましたが、景色のいい処ほど、道は難渋です。 ついでに……その高浜から海岸を安部屋へ行く間に、川があります。海へ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
のような確な若いものを二人でも三人でもお跟け申さないでもございませんが、雪や雨の難渋なら、皆が御迷惑を少しずつ分けて頂いて、貴下のお身体に恙のないようにされます....
一日一筆」より 著者:岡本綺堂
川幕府は金がなかった。已むを得ずして悪い銀を造った、随って物価は騰貴した、市民は難渋した。また一方には馴れない工事のために、多数の死人を出した。かくの如く上下と....
明治演劇年表」より 著者:岡本綺堂
も不評。 ○六月二十三日、本郷の春木町より出火、春木座も類焼。 ○不景気のために難渋の者多ければとて、市川派の俳優が組織せる三升会は、七月七、八の二日間、新富座....