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雨催
「雨催〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雨催の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ろなりき。白昼《ひるま》を欺くばかりなりし公園内の万燈《まんどう》は全く消えて、
雨催《あまもよい》の天《そら》に月はあれども、四面|※※《おうぼつ》として煙《け....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
《おおまがり》から江戸川橋にさしかかったのは、もう五ツ(午後八時)を過ぎていた。
雨催いの空は低く垂れて、生《なま》あたたかい風が吹く。本所で借りて来た提灯をたよ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
芳の番人を亀吉に云いつけて、わたくしと幸次郎は近所へ見まわりに出ましたが、今夜は
雨催いの暗い晩で、そこらに二人のすがたは見付からない。よんどころ無しに又引っ返し....
「黴」より 著者:徳田秋声
行った。そして明るい店屋のある通りを避けて、裏を行き行きした。暗い雲の垂れ下った
雨催いの宵であった。片側町の寂しい広場を歩いていると、歩行べたのお銀は、蹌けそう....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
彼はどっしり掩《おお》いかぶっている
雨催いの空を気に病みながらもゆっくりと路を歩いていた。そうして水溜のように淡く耀....
「蟹の怪」より 著者:田中貢太郎
伝蔵は日傭の帰りにお種の家へ寄って母親と話していて遅くなって帰って往った。それは
雨催いの暗い夜であった。伝蔵は日浦坂をあがって池の近くへ往った。と、 「来な、来....
「半日ある記」より 著者:寺田寅彦
笛ならして過ぐれば余波|舷をあおる事少時。乗客間もなく満ちて船は中流に出でたり。
雨催の空濁江に映りて、堤下の杭に漣※寄するも、蘆荻の声静かなりし昔の様尋ぬるに由....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
蒼白く笑った。 「さようか。それもよかろう。が、帰宅《かえり》のほども知れまい。
雨催いじゃ。守人殿、傘《かさ》を持たれよ」 あとはまた子もり歌に変わって、 「....
「日記」より 著者:宮本百合子
の強い母と良人とは娘、妻、に対して、同じような独専慾を持つ。其ために娘は苦しむ。
雨催いのはっきりしない日である。Aは歯が痛むそうだし、自分は頭の工合が依然として....
「白い蝶」より 著者:岡田三郎助
旬のことで、まだ浴衣を着ていたが、海の方から吹いて来る風は、さすがに肌寒い、少し
雨催の日で、空には一面に灰色の雲が覆い拡って、星の光も見えない何となく憂鬱な夕だ....
「海のかなた」より 著者:小川未明
。 明くる日も、また明くる日も、少年は、旅をつづけたのであります。 春の日の
雨催しのする暖かな晩方でありました。少年は、疲れた足を引きずりながら、ある古びた....
「それから」より 著者:夏目漱石
った所もないので、代助は此方《こっち》から進んで何にも聞かなかった。 その夜は
雨催《あめもよい》の空が、地面と同じ様な色に見えた。停留所の赤い柱の傍《そば》に....