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「雨具〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨具の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
落とすのを、千枝太郎は袖で払いながら又言った。 「現にきょうもじゃ。お師匠さまは雨具の用意してゆけと言われたを、近い路じゃと油断して、そのままに出て来ると直ぐに....
国貞えがく」より 著者:泉鏡花
《ゆらゆら》するのが、真白な脛《はぎ》も露わに、友染《ゆうぜん》の花の幻めいて、雨具もなしに、びしゃびしゃと、跣足《はだし》で田舎の、山近《やまぢか》な町の暗夜....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
つけ、高架線の橋上を両国に出ようというのである。われに等しき避難者は、男女老幼、雨具も無きが多く、陸続として、約二十町の間を引ききりなしに渡り行くのである。十八....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
して、濡れるのを防ぐ。が、帝都には、爆弾の雨が降ってこようというのに、これを遮る雨具一つ、備わっていないのだ……」湯河原中佐は、慨然として、腕を拱いた。 「そう....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ピストルを着けていました。 * 従軍記者の携帯品は、ピストルのほかに雨具、雑嚢または背嚢、飯盒、水筒、望遠鏡で、通信用具は雑嚢か背嚢に入れるだけです....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
いよいよ暗くなったので、僕は顔なじみの茶屋から提灯を借りて、雨のなかを下山した。雨具をつけていない僕は頭からびしょ濡れになって、宿へ帰りつく頃には骨まで凍りそう....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
遊びまわって、夜なかに帰って来ると、にわかに驟雨がざっと降り出した。 かれらは雨具を持っていなかった。しかもこの当時は学堂の制度がはなはだ厳重で、無断外泊など....
春昼」より 著者:泉鏡花
廂を潜って、 「ねんばり一湿りでございましょう。地雨にはなりますまい。何、また、雨具もござる。芝居を御見物の思召がなくば、まあ御緩りなすって。 あの音もさ、面....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
の道中じみたし、雨乞にはちと行過ぎたもののようだった。が、何、降るものと極れば、雨具の用意をするのは賢い。……加うるに、紫玉が被いだ装束は、貴重なる宝物であるか....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に、ピンと刎ねた、博多帯の結目は、赤坂|奴の髯と見た。 「振らないのを頼みます。雨具を持たないお客だよ。」 「ちゃんとな、」 と唐桟の胸を劃って、 「胸三寸。....
真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
がて四つ(午後十時)に近くなって、雨はいよいよ降りしきって来たので、中間の仙助に雨具を持たせて主人を迎えにやった。 「明日のお勤めもござります。もうそろそろお帰....
雪の一日」より 著者:岡本綺堂
影がいくつも重なり合って白く揺いている。雪を載せたトラックが幾台もつづいて通る。雨具をつけて自転車を走らせてゆくのもある。紛々と降りしきる雪のなかに、往来の男や....
層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
年来盆栽になるべき珍木を巌壁の間に求めんとて、数日の糧を齎らし、ただ一枚の油紙を雨具とし、鉈の外には、何も利器を持たずして、単身熊の巣窟に入り、険を踏み、危を冒....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
も混って居りますので、見物人も奉迎人も皆ずぶ濡れです。ところがこういう場合にでも雨具を着けることを許されない。下僕とか馬方とかいうような者は、皆|合羽を着て居る....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
た私は、叩きすくめられたように立ち留って、岩を伝う滝の如き雨水を頭上から浴びた。雨具と思うけれども、人夫とは離れているし、よし又近くにいても、銘々が自分の身一つ....