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「雨戸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨戸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
っていた。だから私はよく早寝をした。が、床にはいっても容易に眠くはならなかった。雨戸の外では夜鳥《よどり》の声が、遠近《えんきん》を定めず私を驚かした。その声は....
海のほとり」より 著者:芥川竜之介
夢を見ていた。 ――それは何《なん》でも夜更《よふ》けらしかった。僕はとにかく雨戸《あまど》をしめた座敷にたった一人横になっていた。すると誰か戸を叩《たた》い....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
ざぶりと水へはいると云うじゃありませんか。一度などはお敏が心配して、電燈を片手に雨戸を開けながら、そっと川の中を覗いて見たら、向う岸の並蔵の屋根に白々と雪が残っ....
或る女」より 著者:有島武郎
って来たが、ふと立ち止まると大きな声で帳場《ちょうば》のほうにどなった。 「早く雨戸をしめないか……病人がいるんじゃないか。……」 「この寒いのになんだってあな....
或る女」より 著者:有島武郎
っていたらしく、すべての造作に特別な数寄《すき》が凝らしてあった)に行って、その雨戸を繰り明けて庭を見せた。そこの前栽は割合に荒れずにいて、ながめが美しかったが....
僕の帽子のお話」より 著者:有島武郎
ひょいと往来《おうらい》の方へ転《ころ》がり出《だし》ました。格子戸のむこうには雨戸が締まっているはずなのに、今夜に限ってそれも開いていました。けれども僕はそん....
火事とポチ」より 著者:有島武郎
が、それはポチがいなかったんだ。ぼくがおこしに行く前に、ポチは離《はな》れに来て雨戸をがりがり引っかきながら、悲しそうにほえたので、おとうさんもおかあさんも目を....
婦系図」より 著者:泉鏡花
懐手のまま、片手で不精らしくとんとんと枝折戸を叩くと、ばたばたと跫音聞えて、縁の雨戸が細目に開いた。 と派手な友染の模様が透いて、真円な顔を出したが、燈なしで....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、この市街では目ぬきな町筋に出ると、冬じゅうあき屋になっていた西洋風の二階建ての雨戸が繰りあけられて、札幌のある大きなデパートメント・ストアの臨時出店が開かれよ....
親子」より 著者:有島武郎
くかと思われるように寒い晩になっていた。高い腰の上は透明なガラス張りになっている雨戸から空をすかして見ると、ちょっと指先に触れただけでガラス板が音をたてて壊れ落....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
ように、薄くほんのりとして覗くのも、そいつは知らないらしい。 ちょうど吹倒れた雨戸を一枚、拾って立掛けたような破れた木戸が、裂めだらけに閉してある。そこを覗い....
縁結び」より 著者:泉鏡花
は、堂の正面へ向った時、仁右衛門は掛金はないが開けて入るように、と心着けたのに、雨戸は両方へ開いていた。お君は後に、御母様がそうしておいたのだ、と言ったが、知ら....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
り、傍正面の姿見に、勿、映りそ夢の姿とて、首垂るるまで顔を背けた。 新しい檜の雨戸、それにも顔が描かれそう。真直に向き直って、衝と燈を差出しながら、突あたりへ....
活人形」より 著者:泉鏡花
なりつる頃、白衣を着けたる一人の婦人、樹の下蔭に顕れ出でつ、やおら歩を運ばして、雨戸は繰らぬ縁側へ、忍びやかに上りけるを、八蔵|朧気に見てもしやそれ、はてよく肖....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
させてやったりしたので、朝方になって、大変よく眠りました。お神さんが早く起きて、雨戸を明けると、そこから明るい太陽が遠慮なく射し込んで来ました。お神さんは、急に....