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「雨蛙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雨蛙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
これで充分との節度を知らぬ、いやしき性よ、ああ、あの貌《かお》、ふためと見られぬ雨蛙。」一瞬、はっし! なかば喪心の童子の鼻柱めがけて、石、投ぜられて、そのとき....
逆行」より 著者:太宰治
呑むのだ。私は二あし三あし走った。滑った。仰向にひっくりかえった。踏みつぶされた雨蛙《あまがえる》の姿に似ていたようであった。自身のぶざまが、私を少し立腹させた....
倫敦消息」より 著者:夏目漱石
みならず報酬を目的に働らくのは野暮《やぼ》の至りだ。死ねば天堂へ行かれる、未来は雨蛙《あまがえる》といっしょに蓮の葉に往生ができるから、この世で善行をしようとい....
如是我聞」より 著者:太宰治
いるのは、いかにももうろくに近い。あれは探偵小説ではないのだ。むしろ、おまえの「雨蛙」のほうが幼い「落ち」じゃないのか。 いったい何だってそんなに、自分でえら....
初蛙」より 著者:薄田泣菫
監は不思議に思って、声のするところを探しますと、それは刀掛の竹からで、竹のなかに雨蛙が一匹棲んでいました。 「これは珍しい。あまり騒ぎたてて、奴さんが逃げ出さな....
碧眼托鉢」より 著者:太宰治
わば感想断片を書き、この雑誌に載せて来た。しかるに、世の中には羞恥心の全く欠けた雨蛙のような男がたくさんいて、(これは、私にとってあたらしい発見であった。)ちか....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
した。 「何だ。つまらない。お前にちっとも似てやしないじゃないか。」 道風の見た雨蛙 少年少女のために 細かい秋の雨がびしょびしょと降りしきる朝でした。久....
旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
とってくれた。私は裏からも表からも見透《みすか》しの場処でのんきに盥の中へ座る。雨蛙にもお湯をぶっかける。大きな山|蟻《あり》が逃出すのを面白がる。或《ある》時....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
奮した想像力を刺戟した。丘の斜面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の鳴く声。雨蛙の不吉な声は嵐の前ぶれだ。梟のさびしい声。突然しげみの中でがさがさいうのは、....
二階から」より 著者:岡本綺堂
ている。 次は蛙である。青い脊中に軍人の肩章のような金色の線を幾筋も引いている雨蛙である。 私の狭い庭には築山がある。彼は六月の中旬頃からひょこりとそこに現....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
緑雨が初めてその名で発表した「小説|八宗」以来知っていた。(この「小説八宗」は『雨蛙』の巻尾に載っておる。)それ故、この皮肉を売物にしている男がドンナ手紙をくれ....
くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
正しとして、童話的に動物や非情の物品が物言う筋の語り言として見ても、案山子の友は雨蛙などならばこそあれ、そこへ蟾蜍を引き出す事も不自然と謂わねばならぬ。ここに久....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
(最も強く。) 蠅の嘴、蚊の鼻梁、 それからそいつの眷属|等、 木の葉におるは雨蛙、草の蔭のは※よ。 これがわし等の楽人だ。 独吟 見ろ。あそこから木....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
「それは、ブルジョア・デモクラシーである。蟹には穴あり、田螺には貝あり、されど雨蛙は枕する所だになき無産者である。もしも世界を田螺や蟹の理想をもって導くならば....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
」。こんな戯談を云う丈に余裕の出来た私達は、小さな窪を目懸けて手足に吸盤を持った雨蛙のように壁面に飛び付いた、同時に金作が両腕を攫んで易々と次から次へと送って呉....