雨露[語句情報] »
雨露
「雨露〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雨露の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
いのだからさ」 天下に家なきは何者ぞ。乞食《こつじき》の徒といえども、なおかつ
雨露を凌《しの》ぐべき蔭《かげ》に眠らずや。世上の例《ならい》をもってせば、この....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、もう飲仕舞で。米も買えなくなる、粥も薄くなる。やっと馬小屋へ根太を打附けたので
雨露を凌いで、今もそこに居るんですが、馬場のあとは紺屋の物干になったんです。……....
「海異記」より 著者:泉鏡花
ってそういわあ。船で暴風雨に濡れてもな、屋根代の要らねえ内で、姉さんやお浜ッ児が
雨露に濡れねえと思や、自分が寒い気はしねえとよ。」 「嘘ばッかり。」 と対手が....
「春昼」より 著者:泉鏡花
の世にか、諸国の婦人たちが、挙って、心願を籠めたものでございましょう。ところで、
雨露に黒髪は霜と消え、袖裾も苔と変って、影ばかり残ったが、お面の細く尖った処、以....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
分は※って、漸々其処を見たように思うですが。」 高坂は語りつつも、長途に苦み、
雨露に曝された当時を思い起すに付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深山に塵一つ、....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
ぐと、典雅温優なる弁財天の金字に縁して、牡丹花の額がかかる。……いかにや、年ふる
雨露に、彩色のかすかになったのが、木地の胡粉を、かえってゆかしく顕わして、萌黄に....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
頃、ある一団の、取留めのない不体裁なその日ぐらしの人たちの世話になって、辛うじて
雨露を凌いでいた。 その人たちというのは、主に懶惰、放蕩のため、世に見棄てられ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
ないんですからね。」 彼等はあくまで反抗する気で、そこに再び自分達の手でやっと
雨露をしのげるくらいの仮小屋を建てて、どうしても立ち退かなかった。もちろん、下げ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
包まれて、茶は沸いていそうだけれど、葦簀張がぼんやりして、かかる天気に、何事ぞ、
雨露に朽ちたりな。 「可いじゃありませんか、先生、畚は僕が持っていますから、松な....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ますと、いつしか一|軒の家屋の前へ出ました。それは丸太を切り組んで出来た、やっと
雨露を凌ぐだけの、極めてざっとした破屋で、広さは畳ならば二十|畳は敷ける位でござ....
「山吹」より 著者:泉鏡花
すると、その罪の可恐さ。身の置所もござりませぬで。……消えるまで、失せるまでと、
雨露に命を打たせておりますうちに――四国遍路で逢いました廻国の御出家――弘法様か....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
庵を五六町隔てたる山寺の下に、小屋かけてただ一人住みたるなり。 風吹けば倒れ、
雨露に朽ちて、卒堵婆は絶えてあらざれど、傾きたるまま苔蒸すままに、共有地の墓いま....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
ても、小丸太五、六本を組み合せ、小柴を両側にあてた一夜作りのもの、合羽でもないと
雨露は凌げぬ、水や燃料は豊富だが三、四尺も増すと水攻にされる。こっちの山麓から、....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
さえるために、電車は昼夜をわかたず水をふりまきながらしきりと往来しているのだ。)
雨露の恵みかゝらぬしるしには、草木もはえで見る色ぞなき 当地にて最も盛んに行わ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
木の間を縫うて行くことは、疲労を忘れしめるほどの愉快を感ずるものである。幾春秋の
雨露風雪に曝された大峰の頂上は清浄な岩石を露出して、殆ど塵一つとどめない箇所を見....