雪の下[語句情報] » 雪の下

「雪の下〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雪の下の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
。人間の哀れな敗残の跡を物語る畑も、勝ちほこった自然の領土である森林も等しなみに雪の下に埋れて行った。一夜の中《うち》に一尺も二尺も積り重なる日があった。小屋と....
第五氷河期」より 著者:海野十三
い吹雪がつづいた。見る見るうちに、雪はうず高く積っていった。道路も人家の屋根も、雪の下に埋没してしまった。 それでも、人々はまだ、それほど事態を重大視してはい....
婦系図」より 著者:泉鏡花
た、意気の壮な、色の白いのが着ると、汗ばんだ木瓜の花のように生暖なものではなく、雪の下もみじで凜とする。 部屋で、先刻これを着た時も、乳を圧えて密と袖を潜らす....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
粧をしていた。 境は起つも坐るも知らず息を詰めたのである。 あわれ、着た衣は雪の下なる薄もみじで、膚の雪が、かえって薄もみじを包んだかと思う、深く脱いだ襟脚....
星あかり」より 著者:泉鏡花
元気がつく。 曳いて来たは空車で、青菜も、藁も乗って居はしなかったが、何故か、雪の下の朝市に行くのであろうと見て取ったので、なるほど、星の消えたのも、空が淀ん....
鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
で季節は夏の最中となる。葉子達一家は、麻川荘之介氏の自殺する五年前のひと夏、鎌倉雪の下のホテルH屋に麻川氏と同宿して避暑して居た。 大正十二年七月中旬の或日、....
山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
れほど頭のさがる感じはない。暖かく心持ちよくスキーはシューシューと雪の上を行く。雪の下を流れる小川の水は非常にきれいだ。可愛らしい小川だ。谷を一つ越すと思わぬと....
春の槍から帰って」より 著者:板倉勝宣
。時間を気にしないのならば肩までスキーで登ることができる。ただし一尺ばかり積った雪の下は氷なのだから、上の雪が雪崩れたら、アイスクリーパーの外は役にたたないが、....
雪魔」より 著者:海野十三
どんないい獲物を追っていても、その青髪山には近づきはしない。 そのような怪山の雪の下に穴を掘って観測を始めた一造兄さんが、誰にも語るなと命令したのはもっともだ....
火星兵団」より 著者:海野十三
かるにちがいないのだった。 山は、まだ冬のままのすがただった。雑草は、のこりの雪の下から枯れたまま、黄いろいかおを出していた。それでも、春はもう近くまで来てい....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
綺麗な、その翼の上も、一重敷いて、薄り、白くなりました。この景色に舞台が換って、雪の下から鴛鴦の精霊が、鬼火をちらちらと燃しながら、すっと糶上ったようにね、お前....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
かえしのつかぬことだった。それでなくてさえ日光に恵まれないこの地方である。半歳を雪の下に埋もれて過ごす耕地のことで、ただ一本のひょろひょろ松のかげでも、直ちにそ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
物凄い。 十二時|疾くに過ぎて、一時前後、雪も風も最も烈しい頃であった。 吹雪の下に沈める声して、お若が寮なる紅梅の門を静に音信れた者がある。 トン、トン....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
くのと、産の世話と、そんなに違いはしないと言う……この母にしてこの娘である。……雪の下を流るる血は、人知らぬ篝に燃ゆる。たとえば白魚に緋桜のこぼるるごとく。――....
活人形」より 著者:泉鏡花
海も夕陽の茜に染みて、遠近の森の梢に並ぶ夥多寺院の甍は眩く輝きぬ。処は相州東鎌倉雪の下村……番地の家は、昔|何某とかやいえりし大名|邸の旧跡なるを、今は赤城得三....