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「雪明り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雪明りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吉良上野の立場」より 著者:菊池寛
小屋を目指して近づいて来るのがきこえた。 十 戸が軋って、雪明りがほのかにさしこんだ。 「しまった、だめだ」と思ったとき、戸口へ火事装束ら....
深夜の市長」より 著者:海野十三
を切った。――運転手は幅の広い背中をこっちに見せて、黙々とハンドルを握った。車は雪明りの人跡杜絶えた街路を矢のように走っていった。ソッと夜光時計の盤面を見ると、....
寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
早速屈み腰になって、それらしい跡を探しはじめた。むろん私もその後に続いて、仄白い雪明りの中をうろつきはじめた。表通りの弥次馬連は、なに事が起ったのだろうと、好奇....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
小広いテーブルに重ねられた清潔な卓布は、シャンデリヤを射反して、人を眠くする雪明りのような刺戟を眼に与える。その上に几帳面に並べられている銀の食器や陶器皿や....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
える。自分の家へ客でも訪れるのかと思うと、それが往来の人々であるには驚かされる。雪明りで、暗いなかにも道は辿ることが出来る。町を通う人々の提灯の光が、夜の雪に映....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
牡丹雪が風に連れて降って来た。見る見る月影は薄れて行きやがて全く消えてしまった。雪明りで仄々とわずかに明るい。 この時、多四郎は右の手をまた懐中へ差し込んだが....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
は無い小広い坪の中を一口とも云うべきところか。其処へかかると中に灯火が無く、外の雪明りは届かぬので、ただ女の手に引かるるのみの真暗闇に立つ身の、男は聊か不安を覚....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
たような思いで、起き上がった。同じ布団、同じ掻巻にくるまって……電燈は消え、窓は雪明りでほんのりと明るかった。 しかし、不思議な一夜が明けると、一人は憎悪のた....
この握りめし」より 著者:岸田国士
脈はたしかに打つている。念のために、首筋へ手を突つ込んでみると、まだ体温もある。雪明りへ顔を向け直そうとすると、眉がぴりぴりと動き、唇がかすかに物言いたげにふる....
光は影を」より 著者:岸田国士
考えられた。 「明り、消してもよろしい?」 「あゝ、どうぞ……」 しかし、外の雪明りが、まだ、ところどころ雨戸の隙間から漏れて、ほんのりとすゝけた障子に映つて....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
今年の最初の雪だというに、江戸に珍らしく五寸も積もり、藪も耕地も白一色、その雪明りに照らされて、遠方朦朧と見渡されたが、命ある何物をも見られなかった。 行....
雪の夜」より 著者:織田作之助
なんだ――と、そんな言葉のうらを坂田は湯気のにおいと一緒に胸に落した。そのあたり雪明りもなく、なぜか道は暗かった。 照枝と二人、はじめて別府へ来た晩のことが想....
雪の透く袖」より 著者:鈴木鼓村
の娘だ、文金の高島田に振袖の裾も長く、懐中から垂れている函迫の銀の鏈が、その朧な雪明りに、きらきらと光って見える、俯向き勝ちに歩むその姿は、また哀れが深くあった....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
寒い。」と、彼女は肩を縮めつつ四辺を見廻すと、暗い家の中には何物も無かった。更に雪明りで透して視ると、土間の隅には二三枚の荒莚が積み重ねてあったので、お葉は之を....
」より 著者:カフカフランツ
の裏壁にあるただ一つの大きな隙間を通して、おそらく内庭からくるのだろうが、青白い雪明りが射しこんできて、部屋の隅の奥深くの背の高い肘掛椅子に疲れはてて横にならん....