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「雪消〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雪消の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
天に聳《そび》え立たしている伯母の山が、これだけは拭えぬ心の染班《しみ》のように雪消《ゆきげ》の形に残す。伯母にとっては父、自分にとっては祖父の執着未練な人型な....
南路」より 著者:宮本百合子
気の圧迫と見ることが出来よう。内へ、内へと追い込まれ、それが極度になると、活溌な雪消も見ないで萎縮してしまう。それに反して、南方では余りの熱や自然界の刺戟に会っ....
鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
うむ、いいな、よい景色だ」 武士は惚々と眺め入った。時刻は真昼春日喜々、陽炎が雪消の地面から立ち、チラチラ光って空へ上る。だが山々は真白である。ほんの手近の所....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
なった。 「鈴子ひとつ歌をつくって見せろ」 「紫にかそか匂いておもほゆる今朝の淡雪消えまく惜しも」 「ふーむ。いい歌だ。このごろでのお前の秀作だ」仁田さんは紅く....
文づかい」より 著者:森鴎外
おもうのみにてやみぬ。 その年も隊務いそがわしきうちに暮れて、エルベがわ上流の雪消にはちす葉のごとき氷塊、みどりの波にただようとき、王宮の新年はなばなしく、足....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
分にいった。 空はまっ青で、流れる水はふくらんでいる―― 何処《どこ》にか、雪消《ゆきげ》の匂いを残しながら、梅も、桜も、桃も、山吹《やまぶき》さえも咲き出....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
は、次のようなものである。 きのふかも霰降りしかしがらきの外山の霞はるめきにけり雪消えばゑぐの若菜もつむべきに春さへ晴れぬみ山辺の里 みやま木のその梢とも見えざ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
しゅうは 思し召されけれども 二月弥生のほどは 嵐烈しゅう余寒も未だ尽ず 峰の白雪消えかねて 大声張りあげて、平家|琵琶の大原|御幸を夢中で呶鳴りだした。―....
春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
い、ことにそれが氷っているようなころには、きわめて軽快に動くそうなが、しかし今は雪消時期なので、そうでもないらしい。 この冬はことに雪が多く、この仙北あたりで....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
て緩く傾斜した驚く可き大雪田が目の前に現れて、赤兀に連る鞍部を一面に掩うている。雪消の跡には岳蕨が今しも永い冬の眠から眼をさまして伸びをしているように、其処にも....