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雪片
「雪片〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪片の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
前後左右に振られながら、片はしを二三尺現している。帯の模様は廓大《かくだい》した
雪片《せっぺん》。
雪片は次第にまわりながら、くるくる帯の外へも落ちはじめる。
....
「源おじ」より 著者:国木田独歩
も思わぬ身ながら粟《あわ》だつを覚えき。山黒く海暗し。火影《ほかげ》及ぶかぎりは
雪片《せっぺん》きらめきて降《お》つるが見ゆ。地は堅く氷れり。この時若き男二人も....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
からの雫が、河面にポタポタして、小さな円い輪を描いたのに似ている。これも風力が、
雪片を飛散させて作ったのであろうと思われる。
最後に雪の「カアル」(Kar)ま....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
らにこの高原の畑地を目がけて吹きおろして来る風は、割合に粒の大きい軽やかな初冬の
雪片をあおり立てあおり立て横ざまに舞い飛ばした。
雪片は暮れ残った光の迷子のように....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
して、時々合間を隔てて、ヒュウと風の軋る音が虚空ですると、鎧扉が佗しげに揺れて、
雪片が一つ二つ棧の上で潰げて行く。
「ところが、死霊は算哲ばかりじゃないさ」と検....
「槍ヶ岳第三回登山」より 著者:小島烏水
、ミヤマナナカマドの枝を捉えながら上る、前にも増した雪の断裂で、草鞋に踏み蹂った
雪片は、山桜の葩弁のように、白く光ってあたりに飛び散る。 奥赤沢の切れ込みへ来....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
口をひっ叩く。山の姿も林の影も一物も見えない闇の空間を、小鬼のような亡霊のような
雪片ばかりが躍っている。 杉右衛門はグルリともんどりを打つと、雪の上へ転がった....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
二、三間おきにいくつもかけられている。人通りが多かった。明るい電燈で、降ってくる
雪片が、ハッキリ一つ一つ見えた。風がなかったので、その一つ一つが、いかにものんき....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
うへおもしろそうにかけって行った。かれらが遠い空の中に見えなくなると、やわらかな
雪片が静かに落ちて来た。それは空中を遊び歩いているように見えた。 わたしたちが....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
。 われわれが近づいてゆくと、にわかに一陣の旋風がさっと吹いてきて、紛ぷんたる
雪片を空中に巻き上げたが、その一部は落ちて来て、また再び風に乗って、海の方へすみ....
「英彦山に登る」より 著者:杉田久女
い二三日前に初雪が降ったと、禰宜は私を霧囲いの傍の天水桶の辺につれていって残りの
雪片をさし示した。 顔見知りの茶店の亭主は、すぐかまの下を焚き出した。ここから....
「地上」より 著者:島田清次郎
の空から無気味な無音の状態で白い粉がちら/\降るのである。湿った地面は絶えず白い
雪片を吸収してその存在を消滅させたが、家々の屋根や軒や電信柱はすでに二、三寸の雪....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
とんど消えていた。それでも時には、前の坊主山の頂きが白く曇りだして、羽毛のような
雪片が互いに交錯するのを恐れるかのように条をなして、昼過ぎごろの空を斜めに吹下ろ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
だけ、煤の混じった霧が部屋に流れこみ、かすかな焦げる匂いで部屋をいっぱいにした。
雪片もいくらか吹きこんできた。 「いやな秋ですね」と、Kの背後で工場主が言ったが....
「妻」より 著者:神西清
子が、百姓女みたいに頭をくるまれて、親指だけ分かれた大きな手袋をして、舞いかかる
雪片を舌で捕えようとして笑っている。そこへ向うから粗朶を積んだ車が来る。そのそば....