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雪解
「雪解〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪解の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
だ白く見やられて、死を連想させるような醜い美しさが耳の付け根までみなぎっていた。
雪解時《ゆきげどき》の泉のように、あらん限りの感情が目まぐるしくわき上がっていた....
「富士」より 著者:岡本かの子
気持もあってしたことの解き開きを娘の神にとくと諾《うなず》かして、根に持つ恨みを
雪解の水に溶き流さすまではかの女の傍からは離れられない。そのことで今世の親子の縁....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
い》が忍んで来る。あの清元の外題《げだい》はなんと云いましたっけね。そう、忍逢春
雪解《しのびあうはるのゆきどけ》。わたくしはあの狂言を看《み》るたんびに、いつも....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。ことに今年はその材料が豊富であるので、場所によっては見あげるばかりの大達磨が、
雪解け路に行き悩んでいる往来の人々を睥睨しながら坐り込んでいた。 しかもそれら....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の光を、地面は胸を張り広げて吸い込んでいる。君の住む岩内の港の水は、まだ流れこむ
雪解の水に薄濁るほどにもなってはいまい。鋼鉄を水で溶かしたような海面が、ややもす....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
が、今度はいよ/\路がわるい。停車場から小一町をたどるあいだに、わたしは幾たびか
雪解のぬかるみに新しい足駄を吸取られそうになった。目おぼえの杉の生垣の前まで行き....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
利があるはずですからね。」 その数時間後、二人の同乗した寝台車が、折から茜色の
雪解跡をついてB癲狂院の門を潜った。....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ああ、おやおや、五つ紋の泡が浮いて、黒の流れに藍が兀げて出た処は、まるで、藍瓶の
雪解だぜ。」 「奇絶、奇絶。――妙とお言いよ。」 「妙でないよ、また三馬か。」 ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
上に溶けていた。 黄昏が街の灯火に光りを添えながら、露路の末まで浸みて行った。
雪解けの日の夕暮。――都会は靄の底に沈み、高い建物の輪郭が空の中に消えたころ、上....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
は、ことしの五月廿日、板谷を越えて米沢へ出ると、町は桜の花盛りであった。それほど
雪解けの遅れた年である。高湯へ行きたいのだと雇いかけて見ても、どの家でも、自動車....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
脣にのぼらない訣には行かなかった。 僕はこのホテルの外へ出ると、青ぞらの映った
雪解けの道をせっせと姉の家へ歩いて行った。道に沿うた公園の樹木は皆枝や葉を黒ませ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
返される自然の現象ながら、村人には、その大地の底から湧き起るような遠いとどろきと
雪解の黒い山肌とは、何かしらじっとしておれないどよめきを感じさせずにいなかった。....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
井戸なるものは、約二町はど離れた小川芋銭先生の家にしか近みには無かったのである。
雪解や霜のために道は悪く、桶は重く、私達にとっては全くこれは難事だった。月三日の....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
北の方へ大畝りに畝って行く事半里で、連嶺第二の低地、その先きは盆地で沢山の残雪、
雪解けの水も流れている。水を一掬び勢をつけて、難なく三千三十米突の一峰を踏む、頂....
「しんぱくの話」より 著者:小川未明
いい。かれこれするうちに、じきに四、五|月ごろとなります。あの水晶のように明るい
雪解けの春の景色はなんともいえませんからね。それまで、私は、あらしや、吹雪の唄で....