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雪達磨
「雪達磨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪達磨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仮装観桜会」より 著者:佐左木俊郎
ていたが、しかし彼らはもはやその待遇に慣れ切っていた。そればかりではなく、生活は
雪達磨《ゆきだるま》のように転がれば転がるほどしだいに大きくなるものだ。彼らもま....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
雪にうずめられている間に、のん気な江戸の人達は、たとい回礼に出ることを怠っても、
雪達磨をこしらえることを忘れなかった。諸方の辻々には思い思いの意匠を凝らした雪達....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
この街道に伝わるうわさの多くは、諺にもあるようにころがるたびに大きな塊になる
雪達磨に似ている。六月十日の晩に、彦根の早飛脚が残して置いて行ったうわさもそれで....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
よいよ寒くなった。昼の雨は夜の霙となって、あくれば校庭は一面の雪、早く来た生徒は
雪達磨をこしらえたり雪合戦をしたりしてさわいでいる。美しく晴れた軒には雀がやかま....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を眼球にした兎と、竜髭の碧い実が眼球の鶉や、眉を竜髭の葉にし眼を其実にした小さな
雪達磨とが、一盤の上に同居して居る。鶴子の為に妻が作ったのである。
「此達磨さん....
「○○獣」より 著者:海野十三
―― という標題で、「私は昨夜この眼で不思議なけだもの○○獣を見ました。これは
雪達磨を十個合わせたぐらいの丸い大きな目をもった恐ろしい怪物です。そいつは空から....
「流線間諜」より 著者:海野十三
煙が吹きつけると見る間に、焔がメラメラと燃えだした。そして三人の顔は太陽に解ける
雪達磨のようにトロトロと流れだした。それが最期だった。暗視機のレンズはチラチラと....
「科学論」より 著者:戸坂潤
構を持たぬということではあり得ない。そして後のものこそ、本当のシステムの意味だ。
雪達磨は固定した図式は持たぬ、であればこそ転がる過程に於て自分自身を太らせて行く....
「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」より 著者:ホーソーンナサニエル
せたから。橇《そり》で方々乗りまわしたり、丘の上から谷へ滑っておりたり、いろんな
雪達磨を作ったり、雪の砦《とりで》を築いたり、雪合戦をしたりすることが出来るのだ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
きないだろう。でわれわれはその一事をここに付加したい。
人の知るとおり、群集は
雪達磨《ゆきだるま》のようなもので、転々しながらもしだいに多くの野次馬を巻き込む....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
やら、希望的観測からの噂やらの中をころげまわっているうちに、しまいには、ちょうど
雪達磨がふとるように、十分重量のある噂になってしまったのである。 その噂という....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の日、尾道としては珍しく雪が降って、二、三寸積った。私は鈴子と二人して庭に手頃な
雪達磨をつくった。 仁田さんは雪を珍しがって、雪見をすると言って酒を暖めさした....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
雪を避けている筈だが、黒いマントはしかし真っ白で、眉毛まで情なく濡れ下っていた。
雪達磨のようにじっと動かず、眼ばかりきょろつかせて、あぶれた顔だった。人通りも少....
「雪の日」より 著者:永井荷風
がそのまま演じ出されるに至ったのも、怪しむには当らない。 あくる日、町の角々に
雪達磨《ゆきだるま》ができ、掃寄せられた雪が山をなしたが、間もなく、その雪だるま....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
いう湖水を離れ、なお南の高原に上って行きますと東と西の遙かの彼方には例の大雪峰が
雪達磨のごとく聳えているです。
その間は広い高原でもはや夏の時ではありますけれ....