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雪雲
「雪雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雪雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
ているらしかった。
昼過きになると戸外の吹雪は段々鎮《しず》まっていって、濃い
雪雲から漏れる薄日の光が、窓にたまった雪に来てそっと戯《たわむ》れるまでになった....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
て鉢の金魚は鱗を七彩に閃めかしながら泳いでいる。外を覗いてみると比良も比叡も遠く
雪雲を冠っている。 「この次は大津、次は京都で、作楽井に言わせると、もう東海道で....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
の変化を観察す」(十一月十七日)とある、そうかと思うと「灰汁《あく》のような色の
雪雲、日に夜叉神《やしゃじん》(峠の名)のあたりより、鳳凰、地蔵より縞目を作《な....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
くような日がもう三四日つづいていた。見あげると積丹岳の上に重々しくかぶさっていた
雪雲はいつか少しずつ割れて行き、その隙間からは晴々とした青い空がのぞかれるのであ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ると、やや緑色を帯びた青空のはるか遠くの地平線高く、幔幕を真一文字に張ったような
雪雲の堆積に日がさして、まんべんなくばら色に輝いている。なんという美妙な美しい色....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
ブラブラ歩いていった。春はまだ寒く、それに空模様はいよいよ悪くなって、どう見ても
雪雲としか見えぬのが、ビルディングの上に低迷していた。スキーの味を知らぬ僕は、雪....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
風|交りの霙が、夜半頃に風が柔らぎ、今ではまったく降りやんだのであるが、依然厚い
雪雲の層に遮られて、空のどこにも光がない。その中を歩んで行くうち、ふと正門近くで....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
る。この雲は二〇〇〇メートル以下のもので、鏡石より上は快晴であった。思うにこれら
雪雲は雪線について上下し、たいてい春秋は山頂附近に、冬は山麓に止まり、その附近に....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
のは、ところどころに見える暗い杜と、低く舞う餓えた烏の群とのみだ。行手には灰色な
雪雲も垂下って来た。次第に私は薄暗い雪国の底の方へ入って行く気がした。ある駅を離....
「伊吹山の句について」より 著者:寺田寅彦
て雪が深いのが私には不思議であった。現に雪の降っていない時でも伊吹山の上だけには
雪雲が低くたれ下がって迷っている場合が多かったように記憶している。その後伊吹山に....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
人のありさまについて、いろいろ想像をめぐらしたものであった。晩秋から冬にかけては
雪雲と風雲に閉じこめられて、はっきりと姿を現わすことは稀である。春は春霞に、夏は....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
している。吹きだまりの深い雪には落葉松が腰まで埋めている。大浅間の頂は、真っ黒な
雪雲に掩われて窺い知れないが、南佐久の遙かな空には真っ白な蓼科山が鋭い線を描いて....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
ち列んでいる。リンデンの街路樹が一日に落葉し暫らく広く見えている伯林の空にやがて
雪雲が覆い冠さって来ると古風な酒店の入口にビールの新酒の看板が出る。夜町の鋪道は....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
た。其骨の尖角の間から洩るる大空が、気味の悪いほどに澄切っているのは、軈て真黒な
雪雲を運び出す先触と知られた。人馬の交通を遮るべき厳寒の時節も漸く迫り来るのであ....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
の天際に剣戟を連ね、横手山の右には真白に輝く立山劒ヶ岳の姿が執念く離れまいとする
雪雲の間から垣間見られた。南に廻ると高い奥白根や前白根の為に遠望は遮断されてしま....