雲の脚[語句情報] » 雲の脚

「雲の脚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雲の脚の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
《ふぬ》けな木偶《でく》のように甲斐《かい》なく思われたり、静かに空を渡って行く雲の脚《あし》が瞑眩《めまい》がするほどめまぐるしく見えたりして、我慢にもじっと....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
南東に流れて来た。彼の一足毎に空はヨリ黯くなった。彼は足を早めた。然し彼の足より雲の脚は尚早かった。一の宮の渡を渡って分倍河原に来た頃は、空は真黒になって、北の....
わかれ」より 著者:国木田独歩
笛鋭く吹きつつ大股に歩みて野の方に向かい、おりおり空を仰ぎては眉をひそめぬ。空は雲の脚はやく、絶え間絶え間には蒼空の高く澄めるが見ゆ。 青年は絶えずポケットの....
南国太平記」より 著者:直木三十五
よう雲に鈍い薄あかりがさし初《そ》めて、雨が上るらしく、降りも少くなって来たし、雲の脚が早く走り出した。 合羽を着ていたが、それを透したと見えて、着物の所々が....
湖水と彼等」より 著者:豊島与志雄
前日よりしとしとと降り続いた雨は午後になっても止まなかった。雨を含んで重たい雲の脚が山々の頂を匐ってゆく。そして榛の林に、湖水の上に、冷たい小さい雨の粒が忍....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
。少なくとも今日はそうでなければならない。斯うして関東平原から私達を追跡して来た雲の脚は、此処で挫けた。私は例えば引かれぬ意地で人を斬って家中を立ち退いた士が、....