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雲切れ
「雲切れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雲切れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
夫は気も心も緩みはてたかと思うばかり、跣足《はだし》を力なくひきずりながら、まだ
雲切れのしない空に柿若葉の※《におい》のする、築土《ついじ》つづきの都大路《みや....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るというから、わたしもこれからちょいと行って見ようかと思っているんですがね。少し
雲切れがしているから、午過《ひるす》ぎからは明るくなるかと思いますが、なにしろ花....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
抜のした姿うら寂しく、姉夫人も言なく、手を掛けていた柱を背に向直って、黒塀越に、
雲切れがしたように合歓の散った、日曜の朝の青田を見遣った時、ぶつぶつ騒しい鍋の音....
「妖術」より 著者:泉鏡花
持つほど、颯と一雨|掛った後で。 大空のどこか、吻と呼吸を吐く状に吹散らして、
雲切れがした様子は、そのまま晴上りそうに見えるが、淡く濡れた日脚の根が定まらず、....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
て行った。高輪の海岸は目の先である。 時刻はやがて五つ(午後八時)に近い頃で、
雲切れのした大空には金色の星がまばらに光っていた。海辺の茶屋はとうに店を締めてし....
「停車場の少女」より 著者:岡本綺堂
に乗って小田原へ着きましたのは、午前十一時ごろでしたろう。いいあんばいに途中から
雲切れがして来まして、細かい雨の降っている空のうえから薄い日のひかりが時々に洩れ....
「おかしいまちがい」より 著者:小川未明
毎日のように枯れた林にきては、いい声でさえずっていました。 「あんなに、あちらは
雲切れがしていますよ。あっちへいったら、きっとおもしろいことがあるでしょう。」 ....
「大きなかに」より 著者:小川未明
しげていられました。 二人は、海辺にきてみたのです。すると波は高くて、沖の方は
雲切れのした空の色が青く、それに黒雲がうずを巻いていて、ものすごい暴れ模様の景色....
「公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
なやましげな姿を自ら見ることもなく、また、黄昏がた、高い山脈のかなたのうす明るい
雲切れのした空を憧れる悲しい思いもなくなって、その高原に生まれた花は、まったく、....
「幸福に暮らした二人」より 著者:小川未明
っぱな建物も見られました。そして、あちらには、煙突から黒い煙が上がって、その煙は
雲切れのした大空を沖の方へとなびいていました。 それから目に見るもの、また、耳....
「お姫さまと乞食の女」より 著者:小川未明
をときどき、思い出すのでありましょう。かごの中のとまり木に止まって、遠くの青い、
雲切れのした空をながめながら、悲しい、低い音色をたててなくのでありました。すると....
「春になる前夜」より 著者:小川未明
に冬も老けて、だんだん春に近づいてまいりました。ある日のこと、西南の空のすそが、
雲切れがして、そこから、なつかしいだいだい色の空が、顔を出していました。すずめは....
「あらしの前の木と鳥の会話」より 著者:小川未明
、くりのまりのような、毛ののびたくびを出して、空の景色をながめると、林の間から、
雲切れのした、青い空の色が、すがすがしく見られたのです。そして、たかの空を舞って....
「魚と白鳥」より 著者:小川未明
た。 なんという、広い、未知の世界が、水の外にあったでしょう? 子供は、高い、
雲切れのした空を見ました。円い、やさしい、月の光を見ました。また、遠い、人間の住....
「風と木 からすときつね」より 著者:小川未明
だので、二、三べんも、細い身を揺すらなければならなかった。 広い野原の上には、
雲切れがして、青い鏡のような空が見えていました。木の枝は、それを見ると、無上にな....