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雲形
「雲形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
雲形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
放して仰向けに天井を見た。白い安西洋紙で張りつめた天井には鼠の尿ででもあるのか、
雲形の汚染《しみ》がところどころにできている。象の形、スカンディナヴィヤ半島のよ....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
中へ押し込んで、ホテルを出た。この短冊はいまだに誰のものか分らない。数は五六枚で
雲形《くもがた》の洒落《しゃれ》たものであったが、朝鮮へ来て、句を懇望されるたび....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
なども出た。ラスキンが雲を三層に分けた頃から思うと、九層の分類にまで及んだ近時の
雲形の研究は進んだものだ。こう主人が話しているところへ、ある婦人の客も訪ねて来た....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
上段の間という部屋が一段高く造りつけてあって、本格な床の間、障子から、白地に黒く
雲形を織り出したような高麗縁の畳まで、この木曾路を通る諸大名諸公役の客間にあてて....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ん。」 午後にも半蔵はこの客人を見に来た。雨の日の薄暗い光線は、その白地に黒く
雲形を織り出した高麗縁の畳の上にさして来ている。そこは彦根の城主|井伊掃部頭も近....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
寝泊まりしたり、休息したりして行ったかしれない。今はそこもからッぽだ。白地に黒く
雲形を織り出した高麗縁の畳の上までが湿けて見える。 「お民、お前のところじゃ、上....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の面をふいているところであった。それはずっと以前に彼の手に入れた古鏡で、裏面には
雲形の彫刻などがしてあり、携帯用の紐の付いたものである。この旧い屋敷の母屋を医師....
「朝飯」より 著者:島崎藤村
はこの五月を堪えがたく思う。其日々々の勤務――気圧を調べるとか、風力を計るとか、
雲形を観察するとか、または東京の気象台へ宛てて報告を作るとか、そんな仕事に追われ....
「碑文」より 著者:豊島与志雄
には粗らな木の植込の中に、※牙な太湖石がさまざまに積み重ねられていまして、奇体な
雲形を至る所に現出し、或は仙人を、或は昇竜を、或は怪獣を、彷彿せしむるものがあり....
「非情の愛」より 著者:豊島与志雄
くものは何もなく、先刻の如意が眼の底に残っていた。それは竹で拵えたもので、先端の
雲形の代りに、小さな宝珠の群彫があった。恐らくは如意宝珠を意味したものであろうか....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
方から下絵が出ているので、そうむずかしく意匠することも入らず、得手々々に彫刻して
雲形の透かしに配置したものです。何しろ宮中のお仕事ですから謹んで落ち度のないように心掛けたことでありました。....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
のものもあれば、薄茶色の肌に瑤珞の艶をだしたのもある。しかし、藍色の鱗に不規則に
雲形の斑点を浮かせ、翡翠の羽に見るあの清麗な光沢をだしたものが、至味とされている....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
一 空はすでに朝。 地はまだ夜。 物売りの声も流れていない。 深淵を逆さに刷くような、紺碧《こんぺき》のふかい
雲形――きょう一日の小春日を約束して、早暁《あかつき》の微風は羽毛のごとくかぐわ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
なのもあり、初重の仕形だけのもあり、二手先または三手先、出し組ばかりなるもあり、
雲形波形|唐草生類彫物のみを書きしもあり、何よりかより面倒なる真柱から内法長押腰....
「すみだ川」より 著者:永井荷風
中央《まんなか》を大きく穿抜《くりぬ》いてある円《まる》い穴に灯《ひ》がついて、
雲形《くもがた》の蔽《おお》いをば糸で引上げるのが此方《こなた》からでも能《よ》....