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「雲母〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雲母の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
水の面《おもて》も、川幅の割には広く見えない。ただ、帯《おび》ほどの澄んだ水が、雲母《きらら》のような雲の影をたった一つ鍍金《めっき》しながら、ひっそりと蘆の中....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
杖の銀の握りで、硝子戸棚の中の絵をさし示した。私《わたくし》は頷《うなず》いた。雲母《きらら》のような波を刻んでいる東京湾、いろいろな旗を翻《ひるがえ》した蒸汽....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
見ると、裙子は紗《しゃ》のように薄くなって、その向うにある雲の塊《かたまり》を、雲母《きらら》のように透かせている。 その後《あと》からは、彼の生まれた家の後....
将軍」より 著者:芥川竜之介
穂積中佐は返事をせずに、頭の上の空を見上げた。空には柳の枝の間《あいだ》に、細い雲母雲《きららぐも》が吹かれていた。中佐はほっと息を吐《は》いた。 「春だね、い....
たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
りこの写真を見ながら、もう一度番茶を飲もうとした。すると番茶はいつの間《ま》にか雲母《きらら》に似たあぶらを浮かせていた。しかもそれは気のせいか、彼女の眉にそっ....
樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
に開いている海も、さながら白昼の寂寞《せきばく》に聞き入ってでもいるかのごとく、雲母《きらら》よりもまぶしい水面を凝然《ぎょうぜん》と平《たいら》に張りつめてい....
或る女」より 著者:有島武郎
て、おびただしい鼻血が貞世の胸の合わせ目に流れ落ちた。 九 底光りのする雲母色《きららいろ》の雨雲が縫い目なしにどんよりと重く空いっぱいにはだかって、本....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
方隕石中には、地上の火成岩中に頻出する鉱物、すなわち、石英、正長石、酸性斜長石、雲母、角閃石、白榴石、霞石を含んでいない。これらは地球内部から来る熔岩からいわゆ....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
。いや。仲々沢山に有りましたよ。――先ず、多量の玻璃質に包まれて、アルカリ長石、雲母角閃石、輝石等々の微片、それから極めて少量の石英と、橄欖岩に準長石――」 「....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
、空の肌質がすっかり刀色に冴えかえる時分を合図のようにして、それ等の雲はかえって雲母色に冴えかえって来た。復一はふと首を擡げてみると、まん丸の月がO市の上に出て....
河明り」より 著者:岡本かの子
く見ると鉛を張ったような都の曇り空と膠を流したような堀河の間を爪で掻き取った程の雲母の片れが絶えず漂っている。眼の前にぐいと五大力の苫を葺いた舳が見え、厚く積っ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
すでに斑白で、衣冠鮮明、その相貌は生けるが如くである。棺のうちには厚さ一尺ほどに雲母を敷き、白い玉三十個を死骸の下に置き列べてあった。兵卒らがその死人を舁き出し....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
新吉は向う側の装身具店の日覆いの下に濃い陰に取り込められ、却って目立ち出した雲母の皮膚を持つマネキン人形や真珠のレースの滝や、プラチナやダイヤモンドに噛みつ....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
あった。墓のなかで脹れあがった唇の皮はところどころに薄い赤い亀裂が出来て、透明な雲母のようにぎらぎらしていた。おまけに、生まれつき頑丈な体は墓の中から出て来ても....
火を点ず」より 著者:小川未明
くるとたんになわが切れて、びんは地上に落ちて、倒れると石油は惜しげもなく、口から雲母のごとく流れ出ました。 「てめえみたいなやつは、大きくなるとどろぼうになるん....