雲脂[語句情報] » 雲脂

「雲脂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雲脂の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道草」より 著者:夏目漱石
し》を放り出して、手を頭の中に突込んだ。そうして其所《そこ》に溜《たま》っている雲脂《ふけ》をごしごし落し始めた。 二人はそれなり別々の室《へや》で別々の仕事....
婦系図」より 著者:泉鏡花
向気にもかけず、平気で着せて、襟を圧えて、爪立って、 「厭な、どうして、こんなに雲脂が生きて?」 五十四 主税が大急ぎで、ト引挟まるようになって....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
くんです、……枕にこぼれて束ね切れないの、私はね、櫛を抜いて密と解かしたのよ……雲脂なんかちっとも無いの、するする綺麗ですわ、そして煩ってから余計に殖えたようよ....
縮図」より 著者:徳田秋声
うえに起きあがり、タオルを肩にかけて、痒みの出て来た頭の髪をほどき、梳櫛を入れて雲脂を取ってもらっているところへ、写真師の浦上が入って来た。八月も終りに近く、驟....
足迹」より 著者:徳田秋声
帰ろう帰ろうと思いながら、もう外へ出るのが億劫になって、暖かい日のあたる縁側で、雲脂の多い母親の髪を釈いて梳いてやっていた。 叔父はどこか酒の気もあるようであ....
清貧の書」より 著者:林芙美子
の柱はひどくグラグラしていて天井から砂埃《すなぼこり》が二人の襟足《えりあし》に雲脂《ふけ》のように降りかかって来た。 「ねえ、これはあンた、潰《つぶ》しにした....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
てファイバーのトランクを一つ買い、あとはテンセンストアで、一つ十銭の歯ブラッシや雲脂取り香水や時間表や蚤取粉などを買い集めてそのトランクの中に叩きこんで出かける....
丹下左膳」より 著者:林不忘
もありません。 すっかりくさった左膳、髪の中へ指をつっこんで、ガリガリ掻くと、雲脂《ふけ》がとぶ。 竹になりたや紫竹《しちく》だけ、元は尺八、中は笛、末はそ....
溺るるもの」より 著者:豊島与志雄
するのである。私の洋服の織目には、書物の埃がたまり、機械的に働かせる頭には、白い雲脂《ふけ》がたまっている。毎日午前九時から午後四時まで、月給百円……。そして家....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
衣、敗れ傘の骨、首縊りの縄、死人の寝床、厠のチウ木、小便|桶《タゴ》の古板、頭の雲脂《フケ》、耳糞、歯屎《ハクソ》、唾液、人糞、小便、月経、陰毛、精液なども薬に....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ていました。 「奥様のように、髪に手入れをなさらないではいけません」と、私の頭の雲脂を落したり、梳いたりしてくれた上に、「少しお頭を拝借させて下さい」と、水油を....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
ぎつぎに出来ていった。それらの歌は、ちょうど松の木の皮のように、あるいは人の頭の雲脂のように、古代人の生活の幹から脱落していったが、書かれたものでなかったから、....