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「雲霧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

雲霧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
おろして来た。と思うともう赤みのさした、小さい実を一つ啄《ついば》み落した。実は雲霧《くもきり》の立ち昇《のぼ》る中に遥《はる》か下の谷川へ落ちた。谷川は勿論《....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
た。 この伝説の偉大な点は、この生物の住家としての世界を温熱と寒冷の泉(太陽と雲霧とに相当する)に影響さるるとしたところにある。生物の生息する世界はこの二つの....
朱日記」より 著者:泉鏡花
あたかも口上。何か、恐入っている体がある。 「夜があけると、この砂煙。でも人間、雲霧を払った気持だ。そして、赤合羽の坊主の形もちらつかぬ。やがて忘れてな、八時、....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
から。 (誰かの悪戯です。) (きっとそう、) と婦人だちも納得した。たちまち雲霧が晴れたように、心持もさっぱりしたろう、急に眠気が除れたような気がした、勇気....
春昼」より 著者:泉鏡花
車が通る。一方は一谷落ちて、それからそれへ、山また山、次第に峰が重なって、段々|雲霧が深くなります。処々、山の尾が樹の根のように集って、広々とした青田を抱えた処....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
は両手で顔を圧えた。 「面目ない、われら、ここに、高い貴い処に恋人がおわしてな、雲霧を隔てても、その御足許は動かれぬ。や!」 と、慌しく身を退ると、呆れ顔して....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
、根ッから難有味がございませんもの、売ものに咲いた花でございましょう。 その癖雲霧が立籠めて、昼も真暗だといいました、甲州街道のその峰と申しますのが、今でも爺....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
すが、それとてホンの一|瞬の間で、やがて何も彼も少しも判らない、深い深い無意識の雲霧の中へとくぐり込んで了うのです。私の場合には、この無意識の期間が二三|日つづ....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
を求むる、あわれなるものどもを苦しめ、惑わせ、かれ等をして、ますます無智と迷信の雲霧の中に迷い込ましむる資料としか思われない。迷信の曲路、無智の濃霧――これ等は....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
。もみの木の林が、高い山の上で、草やぶかなんぞのようにみえました。山のいただきは雲霧にかくれてみえませんでした。やがて雪が降りはじめて、風がつめたく吹いて来まし....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
に、ことことと塒を踏んで、くくと啼く。 人はこういう処に、こうしていても、胸の雲霧の霽れぬ事は、寐られぬ衾と相違はない。 徒らに砂を握れば、くぼみもせず、高....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
化物のように盛りあがった水の土堤に、舵をかえして蒼惶と逃げ出した。そしてそこを、雲霧たちこめるおそろしい湿熱の様から、“|Los Islas de Tempet....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ぬ処ありて読み難しと云へば其を宅眷に補はせなどしぬるほどに十一月に至りては宛がら雲霧の中に在る如く、又|朧月夜に立つに似て一字も書く事|得ならずなりぬ」とて、た....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
ばおそろしい。今宵逗留せよと云われたを幸い、今一度あなたのお目にかかって、迷いの雲霧の霽るるように、御意見申すが法師の務めじゃ。(思案して)まずその前に御陵に参....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
が三千米突以上の高山となると、山麓で晴天の予想も、頂上へ行くとがらりかわり、折々雲霧に見舞われる、これによると、今回のように度々御幕がかかるのが、かえって嵩高に....