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霊物
「霊物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霊物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「誰」より 著者:太宰治
辞典に拠《よ》ると、「悪鬼とは、サタンに追従《ついしょう》して共に堕落《おち》し
霊物《もの》にして、人を怨《うら》み之を汚さんとする心つよく、其数多し」とある。....
「黄村先生言行録」より 著者:太宰治
恋いしたっていた日本一の、いや世界一の魔物、いや魔物ではない、もったいない話だ、
霊物が、思わざりき、湯村の見世物になっているとは、それこそ夢に夢みるような話だ。....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
インドの事例を略叙し、「この種の出来事は必ず昔からであろうが、これに基づいて狼を
霊物とした信仰はまだ聞かぬに反して、日本の山の神であっても、子供を取ったという話....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
馳《か》け出す。なるほど天地玄黄《てんちげんこう》を三寸|裏《り》に収めるほどの
霊物だけあって、到底吾輩の手に合わない、尻尾を環《めぐ》る事|七度《ななた》び半....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
んで、何の弁別も有りやしねえが、村の神主さまのお説教を聴きに行くと、人は天が下の
霊物で、万物の長だ、是れより尊いものは無い、有情物の主宰だてえから、先ず禁裏さま....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
入る〉。 支那に劣らずインドまた古来竜を神視し、ある意味においてこれを人以上の
霊物としたは、諸経の発端|毎《つね》に必ず諸天神とともに、諸竜が仏を守護聴聞する....
「鼻の表現」より 著者:夢野久作
した。 現界の富強を希わず、神界の福楽を欣求する鼻を貴ぶあつまりは、崇高幽玄、
霊物を照破する鼻に帰依して財宝身命を捧げました。 吾れに従う人々の安息の地を求....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
蛇《とうだ》足なくして飛ぶなどいうたは、件《くだん》の羽を被った蛇同様、ただ蛇を
霊物視する余り生じた想像に過ぎじと確信しいたところ、数年前オランダ(?)の学者が....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
の物が婦女に孕ませた子は、非凡の器となるてふ考えを助勢し、それまた余勢で馬までも
霊物と交われば、最良種を生ずると想像するに及んだらしい。『大唐西域記』一に、〈屈....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
はまことに已む得ない結果であると思ってもらいたい。 怪談と言っても、いわゆる幽
霊物語ばかりでは単調に陥る嫌いがあるので、たとい幽霊は出現しないでも、その事実の....
「黄金の腕環」より 著者:押川春浪
に耽って居る、その面白い談話と云うのは、好奇な娘達が頻りに聴きたがる、妖怪談や幽
霊物語の類で、談話上手の伯爵が、手を振り声を潜め眼を円くして、古城で変な足音の聴....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
して、その憑くものの種類は種々に違っていても、とにかく或る人間に使役せられた或る
霊物が、他の人間に憑いて災いを為すという信仰においては、殆ど同一であるが中に、ひ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
こと、山の神田の神の出入と同じであった。紀州熊野の山中においてカシャンボと称する
霊物も、ほぼこれに類する習性を認められている。寂寥たる樹林の底に働く人々が、わが....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
なったのではあるまいか。私などの聴いているだけでも、今でも山中にそうした形をした
霊物が住むという話が怪談のようになって各地に保存せられている。 たとえば紀州の....
「どら猫観察記」より 著者:柳田国男
もある。南の方の島々、殊に沖縄に於てはヨーモと謂えば猿である。言葉の感じは何れも
霊物又は魔物というに在るらしいが確かで無い。そうして琉球にはもうそのヨーモ猿は居ないのである。....