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霑
「霑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「宣言一つ」より 著者:有島武郎
でも進むところに進んで行きつつあるのだ。
今後第四階級者にも資本王国の余慶が均
霑《きんてん》されて、労働者がクロポトキン、マルクスその他の深奥な生活原理を理解....
「たき火」より 著者:国木田独歩
《ふるわた》の現われし衣の、火に近き裾《すそ》のあたりより湯気を放つは、朝の雨に
霑《うるお》いて、なお乾《ほ》すことだに得ざりしなるべし。 あな心地よき火や。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
つ、私が、薄情な、」 と口惜しく屹となる処を、酒井の剣幕が烈いので、悄れて声が
霑んだのである。 「薄情でない! 薄情さ。懇意な婦の、居処を知らなけりゃ薄情じゃ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
うな風情で、引返して、車内へ入って来たろうではないか。 そして、ぱっちりした、
霑のある、涼しい目を、心持|俯目ながら、大きく※いて、こっちに立った一帆の顔を、....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
虹とは……。貴方は何を仰言るのです」伸子は突然弾ね上げたように身体を起して、涙で
霑んだ美しい眼を法水に向けた。しかし、一方その虹は、検事と熊城を絶望の淵に叩き込....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
門の恩賞局に殺到する武士の数は、引きも切らなかったと言う。だから充分なる恩賞に均
霑し得ない場合、彼等の間に、不平不満の声の起きるのは当然である。 或日、塩谷判....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
うる仙人のように見えた。 その葉が大きく上にかぶさる、下に彳んで熟と見た、瞳が
霑んで溜息して、 「立さん、立さん、」 と手を取ったまま、励ますように呼掛けて....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
○ 我が背子を大和へ遣ると小夜更けてあかとき露にわが立ち
霑れし 〔巻二・一〇五〕 大伯皇女 大津皇子(天武天皇第三皇子)が窃かに伊勢神....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
が、この日には出来なくなる」 謙吉の生活もたしかに暗いものだった。いまも、眼は
霑い悲しみの色が、たしかに、祖母への憎悪より度強いことがわかる。末起も、それを見....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
律が、戦敗崩壊後に、なにするものぞ。 読んでゆくうちに、法水の眼頭が、じっくと
霑んでいった。しばらくは声もなくじっと見つめているのを、検事は醒ますように、がん....
「特殊部落と寺院」より 著者:喜田貞吉
とある。徳川太平の代、エタが特に賤まれる様になって、エタ寺またその不名誉に均
霑するに至ったのは、まことに気の毒な次第である。個々のエタ寺について、自分は未だ....
「エタと非人と普通人」より 著者:喜田貞吉
は足洗の出来るものと信ぜられておった。つまり彼らは新たに加わる普通民の落伍者に均
霑して、普通民と民族上区別のあるものでなく、ただ境遇上の相違から一時この仲間に落....
「「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
るを得候う以上は、既に解放せられ、もしくは解放せられんとする人々も、当然これに均
霑すべく、いたずらに広き天地に跼蹐してその素性の露れんことをこれ恐れ、常に戦々兢....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
なって行くべき者をもその徒の中の特に低くなったものの同類として、その低い地位に均
霑せしめようとするがために、種々の悶着も起ってきた。そして為政者の判断が右の如き....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
掠めて一文字に飛んで行った。 暫く雑木の繁った岨路が続いて、零れ懸る露にしとど
霑れながら又川を渡ると、左手から小沢が落ち合って少し許の平地に、茅を束ねた一方口....