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霜
「霜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ちがちりぢりに、死人《しびと》を残して引き揚げた小路は、月に照らされて、さながら
霜を置いたようにうす白《じろ》い。彼は、乱れた髪を微風に吹かせながら、馬上に頭《....
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
し「伝吉物語」によれば、服部平四郎《はっとりへいしろう》の名を知るまでに「三|星
霜《せいそう》を閲《けみ》し」たらしい。なおまた皆川蜩庵《みながわちょうあん》の....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
言って来ましょう。お父さんもすっかり弱ってしまってね。障子の方へ向っている耳だけ
霜焼けが出来たりしているのよ。」
お鈴は長火鉢の前を離れる前に何となしに鉄瓶を....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
》が一晩の中に葉を落したので、庭は黄金《きん》を敷いたように明るい。塔の屋根には
霜が下りているせいであろう。まだうすい朝日に、九輪《くりん》がまばゆく光っている....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
光に照された、古色紙《こしきし》らしい床《とこ》の懸け物、懸け花入《はないれ》の
霜菊《しもぎく》の花。――囲《かこ》いの中には御約束通り、物寂びた趣が漂っていま....
「冬」より 著者:芥川竜之介
していた。のみならずどこか中世紀じみた門には太い木の格子戸《こうしど》の向うに、
霜に焦《こ》げた檜《ひのき》などのある、砂利《じゃり》を敷いた庭を透《す》かして....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
や》ばかり続いている、人気《ひとけ》のない町を歩いて来た。町の上には半輪の月が、
霜の下りた家々の屋根へ、寒い光を流していた。牧野はその光の中へ、時々|巻煙草《ま....
「葱」より 著者:芥川竜之介
の上を向いた鼻を照らしている。が、お君さんの涼しい眼には、月の光も映っていない。
霜の下りたらしい瓦屋根も、存在しないのと同じ事である。田中君は今夜カッフェから、....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
墓はこの前に見た時よりもずっと古びを加えていた。おまけにお墓のまわりの土もずっと
霜に荒されていた。それは九日に手向けたらしい寒菊や南天の束の外に何か親しみの持て....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
もうさながらの冬のけしきで、薄い黄色の丸葉がひらひらついている白樺《しらかば》の
霜柱の草の中にたたずんだのが、静かというよりは寂しい感じを起させる。この日は風の....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
× ×
それから四五日たった後《のち》、――ある
霜曇《しもぐも》りの朝だった。保吉は汽車を捉《とら》えるため、ある避暑地の町はず....
「葬儀記」より 著者:芥川竜之介
のあとについて、自分の番が来るのを待っていた。もう明るくなったガラス戸の外には、
霜よけの藁《わら》を着た芭蕉《ばしょう》が、何本も軒近くならんでいる。書斎でお通....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
私《わたし》にこの話を聴かせたのは、始めて秋山図を見た時から、すでに五十年近い星
霜《せいそう》を経過した後《のち》だったのです。その時は元宰《げんさい》先生も、....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
をつけ、豊穣な実りを思わせるのだった。森は渋い茶色と黄色につつまれ、優美な木々は
霜にうたれて、ちらほらと輝かしいオレンジ色や、紫色や、また真紅にそまっていた。鴨....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
て行きました。三人が村を出た時は、まだ河の流れに朝霧がかかって、河原の石の上には
霜が真白に下りていました。 「今日も、はあお天気になるべいてや。」 と伊作が橋を....