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霜夜
「霜夜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
霜夜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
さてその紹介状を渡したけれども、娘なんぞ寄っても着かない、……ばかりでない。この
霜夜に、出しがらの生温い渋茶一杯|汲んだきりで、お夜食ともお飯とも言い出さぬ。座....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ったが、おそらく前のおでん屋と同じ運命の人であったろう。 この男を見た時に、「
霜夜鐘」の芝居に出る六浦正三郎というのはこんな人だろうと思った。その時に彼は半紙....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
から引き揚げたのは、それから小半|※の後であった。水練をしらないらしい彼が、この
霜夜に赤裸で大池へ飛び込んだのであるから、その運命は判り切っていた。しかし彼の素....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ら、よろよろと引退る、と黒髪うつる藤紫、肩も腕も嬌娜ながら、袖に構えた扇の利剣、
霜夜に声も凜々と、 「……引上げたまえと約束し、一つの利剣を抜持って……」 肩....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
たが、吸取るように、ばったりと紙になる。 「消した、お前さん。」 内証で舌打。
霜夜に芬と香が立って、薄い煙が濛と立つ。 「車夫。」 「何ですえ。」 「……宿に....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
一つ掛けた声が、たちまち切なそうに掠れた時よ。 (ハオ、イヤア、ハオ、イヤア、)
霜夜を且つちる錦葉の音かと、虚空に響いた鼓の掛声。 (コンコンチキチン、コンチキ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
た明|晃々たる器械のありとも見えず、寂となって隠れた処は、雪に埋もれた関らしく、
霜夜の刑場とも思われる。 旅行の袂に携えた、誰かの句集の中にでもありそうなのを....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
飛ぶ。 「わっ。」 と云って、境は驚駭の声を揚げた。 遮る樹立の楯もあらず、
霜夜に凍てたもののごとく、山路へぬっくと立留まった、その一団の霧の中に、カラカラ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
が増したのである。 桶屋の凧は、もう唸って先へ飛んだろう。馬二頭が、鼻あらしを
霜夜にふつふつと吹いて曳く囃子屋台を真中に、磽※たる石ころ路を、坂なりに、大師|....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
。 「半刻あまりそこにいろ」 いいすてて、またもカラーンカラン! 綺麗に歯音を
霜夜に立て、そうして肩に満月を載せ、町の方へ行ってしまったのである。 切り仆さ....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
返すと忠蔵を見た。 と、忠蔵もお菊を見た。 二人は意味深く笑ったものである。
霜夜に凍った田舎路を、一つの提燈に先を照らし、彦七と利右衛門とは歩いて行く。 「....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
の婦のために、魂に火を点じて、幽に生命を消さなかったと云うのを聞いた。真の性質は
霜夜の幽霊のように沈んで寂しいのかも知れないのに、行為は極めて蓮葉で、真夏のごと....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
の改良はこれから――芝居の飲食物――外国人の書面――後代の面目 似顔絵と双六 「
霜夜鐘十字辻筮」――芝居の草双紙――絵双紙屋――春近しの感――六三掛け 興行困難....
「思い出草」より 著者:岡本綺堂
かったが、恐らく前のおでん屋と同じ運命の人であったろう。 この男を見た時に、『
霜夜鐘』の芝居に出る六浦正三郎というのはこんな人だろうと思った。その時に彼は半紙....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
、やはり老師さん! 老師さん! を繰返し続けたが、だんだんその叫び声が自分ながら
霜夜に啼く餓えた野狐の声のような気がされてきて、私はひどく悲しくなってきて、私は....